私が呼吸回数を広めようと考えるまで
看護師3年目くらいから「呼吸回数は患者の評価に重要」という内容の著書を読んで衝撃を受け、啓蒙しようとしてきました。
「看護師が得られる情報でこんなに重要だと考えられるものがあるなんて!早速広めたろ」
しかし、先輩に言ったら
「それエビデンスあるの?」
「その本が正しいって保証は??」
と言われ、どの先輩にも一蹴。
後輩に言うと
「……………へ〜」
裏では
「なんでこの人このタイミングで呼吸回数測定してるの?」
と言われる始末でした(笑)
なんで呼吸回数を測定するという簡単な事を試してみようと思わないのかな?
と、当時は疑問でしたが
考えてみれば、得られた呼吸回数をどう患者評価に活かすかまでをちゃんと理解出来ずに
ただがむしゃらに周囲に「測定しろしろしろしろ」言ってたのがイマイチだったのかなと思ったりします。
まぁそんな陰口叩かれてるような状況だったので
普段の業務では呼吸回数を測定しても、記録には残さずに自分の患者評価にだけ使っていました。
(そんな必要無かったのにねぇ……)
そして、職場が変わります。
職場が変わって最初は大人しく溶け込む事だけを考えていました。
しかし、ある出来事が起こります。
夜間、緊急入院してきた患者
明らかな頻呼吸、SpO2 低値、しかしそれ以外の見た目に重症感なく会話も出来る。
患者評価は私と医師(+他のスタッフ)で違いました。
私→これ、重症じゃ……介入いるでしょ。
医師→まぁ重症感ないから様子見られるんじゃない?
とはいえ、別に医師に物申してまで自分の意見を押し通す知識も勇気も無かった私は様子見をしていました。(緊急入院を担当したのが私じゃ無かったので、担当患者じゃ無かったというのもありますが)
そして、患者はあまり良くない経過を辿りました。
今でもあの時のことは鮮明に覚えています。
もし、私が少しでも注意を促すことが出来ていたら……。
違う未来があったかもしれませんし、結局同じだったかもしれません。
別に医師や他のスタッフを責めるつもりはありません。
責められるとしたら危険性に気づいていながら声をあげなかった私でしょう。
ただ、私はここで聞いた言葉が大嫌いです。
「SpO2 は低いけど末梢が冷えているから上手く測れていないだけ」
「頻呼吸?ん〜……様子見で」
この出来事から、私は患者評価をする意味と自分の蓄積してきた知識を周知しようと考えるようになりました。
そして、生まれたのがこの辺の資料です。
そして今、少しずつですがようやく職場スタッフに呼吸回数測定が浸透してきつつあります。
私は呼吸回数の重要性を説明できる機会をもらえるようになりました。
後輩がPEARSのテンプレを使用して記録する場面が出てきました。
そして、副師長が呼吸回数を測定するようになりました。
このまま呼吸回数の重要性が『指導する世代』側にも少しずつ広まっていくと嬉しいなぁと感じています。