Dream-Nursing

世の中の看護師さんに発信したい、自分で学んだ文献などを記載する備忘録。看護師さん〇〇しようぜ!

更なる皮膚所見の可能性

皮膚の色調によって敗血症患者の重症度が察知できるかもしれないという論文があることは以前ブログで紹介した。

 

皮膚所見って観てる? - Dream-Nursing

 

 

月日が経ち、今ではこのような本でも網状皮斑(Mottling skin)に関して紹介されるようになった。

 

INTENSIVIST Vol.14 No.2 2022 (特集:生理学2)

INTENSIVIST Vol.14 No.2 2022 (特集:生理学2)

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こちらでは『網状皮斑はなぜ網状なのか?』 というタイトルで網状皮斑(Mottling skin)の臨床での活用の提言をしている。

 

正直、私個人このような提言が大好物である。

 

我々看護師は検査のオーダーなどを自分たちで指示できるわけでは 無く、疾患自体の鑑別は医師による介入が無いとできない。

 

これは看護師という職業上超えることのできない壁である( 特定看護師、NPなどに関してはまた別なのかもしれないが)

 

ただ、 目の前の患者の状態変化に対して緊急性が高い者なのかどうかの判断を迫られる場面はある。

 

その場合の判断のための情報や知識はいくらあっても多すぎることはないのではないかというのが私の考えである。

 

そのため、バイタルサインからの患者評価や、 身体所見から考えられる患者の状態変化など看護師でも集められる情報から状態変化をどう解釈し判断するかを意識して学んできたつもりである。

 

そんな私にとって、 皮膚の所見が患者評価につながるなどという情報は見逃せないのである。

 

こちらの本の中では、 皮膚の色調変化の言葉の定義から皮膚の血管構造、 網状皮斑の臨床的意義までの記載があり、 数ページではあるが読み応えも抜群。

 

現状、この網状皮斑(Mottling skin) の有効性は敗血症患者以外での研究がないようであるが、 循環不全がある患者全般でこの所見が患者評価に有用な情報であることがもしわかれば、 我々看護師にとっても力強い武器になってくれるのではないかと期待出来る。

呼吸を学びたい

「呼吸管理について教えて欲しい」 とスタッフに個別で言われたので、 何か気になったことがあるのかを伺ってみるも、

 

「何を学んだら良いかわからないので、 とりあえず呼吸管理と称したが、○年目(←若手) は何を勉強したら良いでしょうか?」

 

という質問だった。

 

学ぶ気になったスタッフをみて老兵はうれしくなり、突き放すのも 良くないので質問してみる。

 

Q:人工呼吸器について学びたいのか?

A: ゆくゆくは目標としているが今はそういうレベルじゃ無いと思う。

 

Q:日々の観察で何か疑問があるのか?

A:特にそういうわけでもないが強いて言うなら肺音の聴診、 異常音が整理できていない。

 

Q:ちなみに呼吸回数は測定しているか?

A:測定していない。

 

Q:SpO2は測定しているか?

A:測定している看護師がいれば・・・。

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

なるほど・・・

 

一般的な呼吸に関する評価を学びたい(というか学んでもらおう) という認識だと心得ました。

 

SpO2も呼吸回数も測定していない時があるのはちょっと気にな ります。

 

とりあえず、

 

  • 人間は酸素を使って効率的にエネルギーを生み出すことが出来てい ること
  • 呼吸は酸素を取り込むこと(酸素化) と二酸化炭素を吐き出すこと(換気)が主な目的であること
  • SpO2では換気は評価できないこと
  • 不安定な患者の呼吸回数の相対的な変化は心拍数や収縮期血圧の相 対的な変化よりも重要であること
  •  呼吸回数は安定した患者とリスクを持つ患者を識別する良い指標に なりそうという情報があること
  • 個人的には

  呼吸回数20回以上で「おや?」

  呼吸回数22回以上で「体調悪い?」

  呼吸回数26回以上で「ヤババ!?」

  呼吸回数30回以上で「急変する!?」

  と考えていること。

 

上記を説明しました。

 

それらを踏まえた上で日々の観察をどうするか?

 

基本となるのは普段からの呼吸回数の測定で普段の状況(酸素化、 換気)を把握する。

 

正常をもとにして異常を把握する。

 

正常が把握できていなければ異常も認識できない。

 

酸素の流れを気道から肺胞から血管内のHbから各組織へと意識し て呼吸状態を評価する。

 

これらを普段の検温時などから意識してみましょう。


と、お話。


さてさて行動変容に繋がるか?

“何か変”って何が変?

Twitterで「患者に対する看護師の”何か変”という感覚を大切にしよう」 的な意見がチラホラ立て続けにあったような気がなんとなくした。

 

個人的には「確かに“患者がいつもと何か違う”という感覚は、 何かの情報を拾っているのかもしれないがそれを“何か変” で済ませていると具体的に何が変なのかを言語化する事に繋がらないのではないか」と思っていたりする。

 

じゃあ何が変なのかを具体的に述べるとすると・・・ 何があるだろうか?

 

※私個人がこんなことがあったら”何か変”と感じるという個人的意見です。

 

病室から聞き慣れない音がする(妙な呼吸音、何かを叩く音、 独語)

カーテンを開ける前の呼びかけに対して返事が無い( いつも返事をするのに)

いつも椅子に座って医療者に対応するのに椅子に座らずに寝ている 。

いつも病衣だけの患者が何か違う物を身につけている

いつも厚着の患者が薄着(薄着の患者が厚着も)

顔色がいつもと違う(青い、白い、赤い、黒い、黄色い)

いつもスマホでゲームしているのにしていない。

医療者と対応しているときも立ったり座ったり落ち着きが無い。

いつも目を合わせてくれる患者の目が合わない。

いつもより返事が遅い。

食事量が減った。

内服薬をカラから取り出すのにいつもと違って手間取る。

同じ事を何回か聞く。

いつもと違って感情的になりやすい

消灯後、 基本的にナースコールしてこない患者からのナースコールがある( トイレ回数が多い等の理由で)

唾液が垂れてる。

息が荒い。

肩で息している。

一文章を一息で話すことができない。

規則的に高いor低い音が鳴っている(呼吸音?)

脈拍がいつもより遅い(いつも100回/分前後なのに60回/分 前後)→正常値になったからと言って油断出来ない。

いつも冷えてる四肢が温かい(逆も)

いつも強い橈骨動脈のふれが弱い(逆も)

 

 

・・・とりあえず思い浮かぶのはこんなもんだろうか?

 

これらのことがあったからといって、 その患者が必ず状態悪化すると言うわけでは無いし、むしろなにも起きない事が多いだろう。

 

そもそも状態悪化以外で何か説明出来るものがあればそれに越した事はない。

 

ただ、説明のつかないこういう変化を来した患者に対しては少なくとも私は観察強化をする。

 

 

育休取得後

そういえば、私の職場だけかもしれませんが育休を取ると一度所属が勤務部署から看護部に移ります。


そして、そこからさらに人事が出て復帰後の部署が決まるというような流れになるようです。


詳しく知ろうと思って上司に色々聞きましたが、上司もちゃんと把握できてないのか(もしくはコイツに細かいこと言うと後で煩いかもと思われたのか)結局要領を得ませんでした。


しかし、育休取得の書類を作成している時に所属が看護部に変わる事を知らされ、


「だから育休明けはこの部署に戻れないかもしれないからね」


と言われた事がありました。


性格の悪い私は“もしかして、それを理由に育休取らせるのをやめさせようとしてるのか?”と思いました(笑)


今まで散々「忙しいんだから育休なんて……(抜けさせない)」的な事を言ってきたのに、


いざ抜けたら今度は「戻ろうと思っててもここには戻れないかもしれないけど良い?」と言われたように感じて


(忙しいうえに人手が足りなくなるのに「お前は戻ってこれないよ」みたいな事言われても……。私痛くも痒くもないし、損してるのこの部署だけじゃね?)


とちょっと首を捻りました。


そもそも異動になってもただ仕事をするだけなので私個人としてはそんなに気にはなりませんでしたが、


その部署で働き続けたい!という確固たる想いがある人には気になる事なのかもしれませんね。


とりあえず、


「人手が足りない部署から人が抜けた後、その後戻ってくるとわかっている慣れたスタッフを補充要員として考えない上層部の考えはこれ如何に?」


みたいな事をお伝えしました。


その上で「育休取得後はどこに所属になろうが働きますけど『育休取ったらこの部署に戻れるかわからない』と言われたという事は事実として認識しておきますね」


と言っておきました。


まぁ、結果的に私は同じ部署に戻ったんですが(上司は「部署の特徴がわかってるベテランを手放す訳ない」とか言ってました)なんかこういうのも上司と話すストレスの一つになるんだろうなぁと感じた出来事です。


とりあえず私の言いたい事は、


なんとなく「育休取るな」というような圧力をと感じた時には


「つまり、育休を取ると〇〇される(異動させられる等)って事ですね」


というように“こういう圧力を感じてますよ私”と言葉でハッキリ明言して上司と自分との間の理解に差が無いようにした方が良いというかオススメです。


その上で文書化かもしくは最初から録音です。

《患者評価》

ファーストタッチ

カーテンを開ける前の声かけ「○○さ〜ん」に対する反応でざっくりレベル評価

直面しての第一印象でヤバいか判断(顔色、呼吸、会話への反応)


上記で体調悪そうなら一次評価へ

(悪くなさそうなら退室)


検温するならそのまま検温へ


検温→

呼吸回数はしっかり測定する

脈拍は橈骨をちゃんと触る(強い弱いなど、拍動具合をなんとなく把握する)

呼吸、脈拍を見る時に露出してる皮膚の色をざっと見て不自然な色をしていないか確認。

SpO2は波形、ゲージが規則的に動いてるか見る(波形が歪だったりゲージが規則的に動いてなければ上手く測定できてない可能性があるので注意)

収縮期、拡張期、平均血圧まで確認

※ 収縮期は高血圧、出血の評価 

 拡張期は冠動脈、末梢血管の締まり具合の評価 

 平均血圧は重要臓器への血流の評価

意識レベルは主観(自分が感じた印象)とスコアなどの客観を踏まえて評価


以上を総括してヤバいかどうかを評価。

 

ヤバくなければ退室。

 

ヤバければ一次評価と共に応援要請。


※備考→

自分の主観的な評価と共に客観的な指標として患者評価のスコアを活用(SIRS、qSOFA 、NEWS等)


異常有りと判断した理由と同じくらい、異常無しと判断した理由を大切に

 

ヤバい!と判断すれば人を呼べ

 

ヤバいかどうか迷ったら相談しろ

 

オーバートリアージは許容されると考えろ

 

 

育休への道

※個人的な意見、なおかつ男が取得する場合に限る( と思われます)

 

育休制度の知識を得る

→ネットで事前に情報を得ておくことも良いと思いますが、 個人的に一番なのは人事部などの事務の方々に制度の説明と必要書類の書き方の説明を受けることだと思います。

いつまでに何の書類が必要かなども重要ですが、「 育休を取ることが労働者の権利として認められているため自分の仕事でも育休を取るための道がある」 という理論武装をするためです。

後々、 これが自分の意見を貫くための武器になります。 ついでに自分が育休を取得できる対象なのかどうかも確認しましょ う(雇用側が断れる場合もあるようです)

 

早めに上司に相談

→なんとなく否定的なことを言われそうで、 相談をしないままズルズルきた上で直前になって育休希望を伝えることになると単純に印象が悪く受け取られることがあります。

そうなると話が進めにくくなる可能性があります。( 人は感情で動く生き物なのです)

 

現在の配偶者・子どもの体調を逐一報告する

→ わざわざ時間をとって報告するのも気が引けるかもしれませんが、 私は妻の妊婦健診に全部付き添いたかったので休み希望を伝える際 に報告してました。(「いちいち報告しなくても良いよ」 と思われる可能性もありますが・・・)

 

上司のタイプを知る

→上司には(多分)いくつかタイプがあります。

 

①     自分に育休回り(というか法律)の知識が無い事がわかっていない。そのため、 育休を取らせない方向に話を持って行こうとする

②     育休回りの知識がありながら、 取得が難しいことをほのめかし空気を読めという方向に話を持っていこうとする。

③     希望をそのまま受け入れてくれる。

 

きっと③のような上司がいれば話はスムーズなんですが、 あまりいないんだと思います。

①、②に関してはタイプは違いますがアプローチは同じです。 ここで事務の方から得た知識を存分に発揮してください。 穏やかに柔らかく、しかし「育休取得できないはずがない」 という態度でいくのが良いかと思います。

①のような上司は「取らせない」とか「無理」 とか厳しい否定の言葉を言ってくる可能性がありますが、 その場合録音しておくと良いです。なので、 話し合いに行く前にレコーダーなどを用意すると良いかもしれませ ん。その後、 上司の上司や他の公的な機関への相談を考えると良いと思います。

 

②のような上司の場合は、 明確に否定の言葉を言ってくることがない可能性があるためこれで 引き下がると、後々「育休を取らせてくれなかった」 とゴネてみても「私は取れないなんて一言も言ってない。 そちらが(空気を読んで勝手に諦めて) もう育休の希望を言ってこなかったから希望がなくなったと思った 」みたいな対応されることが考えられます。

こういう場合は話し合いの時に“空気を読め”的なほのめかしが出た時点で

 

「”無理“って言ってますか?」

「育休希望した職員に上司の立場から”取らせない“ と言ってるという解釈で良いですか?」

 

というように、 上司のほのめかしにどういう意味が含まれているかを明確にしてメモするなどの文書で残す。そして、 その言葉を“両者共有の事実”として「話し合いの場で上司が明言した」という事実確認をすると良いかもしれません。

 

この場合「取らせないとは言っていない」と言われれば「 じゃあ取りますね」と答えれば良く、「取らせないと言っている」 と認めれば上司の上司や他の公的な機関に相談するなどを考えても 良いかもしれません。

 

・・・こんな所でしょうか?

 

ちなみに私は2回育休を取得していますが、やり方としては

 

①     事務方に制度の説明と必要書類の確認をしに行く。

②     1年に何回かある面談の時とかに育休を取る意志があることを日頃 から上司に言っておく。

③     検診の付きそいの休み希望を上司に言う度に配偶者と子どもの状況 を報告する。

④     育休を取る日程が固まったら上司に早めに伝える。( 家庭環境が許すならちょっと長めの期間取得したいと希望する。)

 

って感じでした。

 

実際は3ヶ月位取得できればと思っていても、 半年くらい希望しておけば「3ヶ月なら・・・まぁ・・・」 と上司も感じてくれるかもしれません。

 

最初にドンとぶちかましてから徐々に落としどころを探っていく感 じです。

 

ご参考までに。

呼吸回数をどう活用する?③

呼吸回数を測定するようになったけど、この情報をどうしたらいいのかわからん。

 

という方もいると思うので、個人的な活用方法を紹介します。(あくまで個人的なものです。)

 

以前お伝えしたのは、呼吸回数(というかバイタルサイン)を使用して以前の値との比較をし、患者評価をするということです。

 

前回と比較して

 

①変化なし

②増えた(頻呼吸)

③減った(徐呼吸)

 

の三択で患者評価をする事になります。

 

そして、頻呼吸を認識したら、何が原因かをざっくり考えるための四択を用意しました。

 

❶低酸素

❷高二酸化炭素

代謝性アシドーシスの代償

❹呼吸中枢の興奮

 

そして、頻呼吸の次は徐呼吸です。

 

徐呼吸になっている場合に考えるのは意識レベルの低下。

 

つまり、呼吸中枢の異常です。

 

そうなると、意識レベル低下に対するアプローチがポイントになってきます。

 

よくAIUROTIPS(アイウエオチップス)というのが意識障害のアプローチとして紹介されていますが、

 

個人的に、看護師にはこちらよりもこの本に紹介されている“10の鉄則”がおススメです。

 

 

こちらには意識障害へのアプローチ……というよりも基本的な患者評価よりの内容で意識障害への介入が載ってて看護師向けだと思います。

 

原因検索も勿論重要ですがそれ以前にやる事ない?って事を教えてくれます。

 

“10の鉄則”をそのまま書くのはちょっと著者に失礼なので、気になった方は購入して下さい。

 

ちなみに患者評価のポイントとしては

 

バイタルサイン

左右差

血糖値

 

の三つです。

 

徐呼吸へのアプローチってあんまり聞かないかもしれないですが、少し参考にしてみて下さい。