患者評価の一例②
前回からの続き
(前回は↓↓↓↓↓)
後輩
「じゃあ検温しますよ」
ヌゥ
「そうね、私この人の情報収集してるわ」
・・・・・・・・・・・
ヌゥ
「ふむ、80代男性。下血にて来院し内視鏡で止血術をしたと・・・」
後輩
「ヌゥさん、体温36.5度、脈拍80、血圧90/60、SpO2 92%です」
ヌゥ
「ん~・・・呼吸回数は?」
後輩
「あ、測定してないです」
ヌゥ
「じゃあ測定してくださいな。私ちょっと患者さんの様子見てみるね」
後輩
「はい」
ヌゥ
「気道は特に何もせず開通しているし、異常な音もなし。(Aの評価)
呼吸回数は今測定しているとして、努力呼吸というわけでも無いけど頻呼吸気味、胸の上がりに異常な点は見られず、聴診では・・・左右差は無いけど背側の呼吸音が弱い」
後輩
「ヌゥさん、呼吸回数24回です」
ヌゥ
「はいよ。以上を踏まえると、頻呼吸でSpO2が少し低めだけどそれほど呼吸苦などの重症感は見られない。普段の呼吸回数・・・は当然のごとく測定されてないとして、SpO2は90~94%で経過しているようだからそれほど極端な数値にはなっていない」
後輩
「ヌゥさん、めっちゃ独り言言いますね」
ヌゥ
「つまり、現状気になるのは呼吸回数のみと考えると様子が見られそうかしら。(Bの評価)」
後輩
「ふむふむ、酸素投与とかはいらないですか?」
ヌゥ
「ん~医師の指示があれば投与しても良いけど・・・意識レベルの低下が起こるほどの異常かと言われると現時点ではそれほど必要では無いと思う」
後輩
「はい」
ヌゥ
「さて、次は循環だけど、脈拍は80台で橈骨も頚動脈も触知可能、CRTは・・・2秒。そしてCRTのついでに爪を強めに押すと少し痛がる反応あり。四肢は温かいから末梢が締まってるって事はなさそう。血圧は90台でいつもより少し低い」
後輩
「ふんふん」
ヌゥ
「以上を踏まえると、循環で気になるのは血圧くらいってことになるね。それも極端な値ではないからこれも様子が見られそう(Cの評価)」
後輩
「・・・ん?ってことは異常が無い?」
ヌゥ
「ん~・・・そうね。意識レベルの低下って脳まで有効に酸素が回ってないって事だけど、そんな状態になるほどのバイタル上の変化はないね」
後輩
「つまり・・・寝てるだけ?」
ヌゥ
「まだ評価途中だけど、客観的な情報からはそれほど重症らしさは無いね」
後輩
「ふんふん、じゃあ一安心ですね」
ヌゥ
「ただ、そうするとなんでこんなに覚醒不良なのかが気になるんだけど・・・。とりあえずこのままD(意識)の評価しちゃおうか」
後輩
「意識レベルはJCSⅢ-100ですかね。GCSだとE1V1M4」
ヌゥ
「PEARSだとAVPUで表すからこの場合P(Responds Pain)ね。これだけ聞くと急に重症っぽくなる」
後輩
「次は?」
ヌゥ
「瞳孔の所見を見ましょう。ペンライトある?」
後輩
「どうぞ」
ヌゥ
「そしたら、まず瞳孔の大きさ左右差を見ましょう」
○○
「・・・さっきから何やってんだあんたら」
後輩
「あ、起きた」
※この症例はフィクションです