患者評価の振り返り
前回からの続き
(前回は↓↓↓↓↓)
ヌゥ
「○○さん、なかなか起きないから心配してたけど大丈夫?」
○○
「大丈夫じゃないよ!昨日血が出たからって内視鏡で延々と検査されて、やっとゆっくり出来ると思ったら飲物はダメ、食べ物はダメ。そんなんで寝るしかないからずっと寝てたらあんたらが身体触ってなんかやってるし」
後輩
「・・・つまり寝てただけ?」
○○
「そうだよ。寝させてくれよ。昨日疲れちゃったんだよ俺」
ヌゥ
「そうですよね。疲れてますよね。どこか痛いとか寒気がするとか気持ち悪いとかないですか?」
〇〇
「無いね」
ヌゥ
「わかりました。すみませんね、血を止める処置してまだ一日なので、少し血圧とかをマメに測らせてもらいます」
〇〇
「そうなの?参ったなぁ」
ヌゥ
「なるべく休める時間取れるようにしますので」
……………………………………………
後輩
「結局何でもありませんでしたね」
ヌゥ
「ん~・・・」
後輩
「こういうこともあるんですね。ヌゥさんが動き出したから何か患者に起こってるのかと思いました」
ヌゥ
「まぁ、あなたから情報を聞いた限りでは何か起こってそうな気がしたけど。ぱっと見では重症感は無かったね」
後輩
「嘘つかないでくださいよ。あのとき患者評価が必要って言ってたじゃないですか」
ヌゥ
「ごめんね。どちらかと言うと、重症感が見た目では無かったからそれを裏付けるために情報集めて患者評価したかったって言うのが正しいところかな。第一印象ですべてを見抜くのは難しいし、情報を集めない、患者評価をしない、ってのは危険でしょ」
後輩
「何か気になってたんですか?」
ヌゥ
「最初気になってたのは、消化管出血で入院した患者が意識レベルが低下……って事は、脳まで血流が保たれてないかもってこと、これは拡張期血圧の上昇や四肢の温度、頻脈の存在、冷汗などで予測できるね。入院した理由を踏まえてそんな当たりをつけた」
後輩
「あぁ、さっきもそんなこと言ってましたね」
ヌゥ
「その辺の循環に問題があるのかと考えながら情報を集めてみたけど、それほど循環に問題が無さそう・・・特に今挙げた所見でそれほど異常な値は見られなかった」
後輩
「ふむふむ、となると消化管出血が理由じゃないと?」
ヌゥ
「そうそう、そんな感じで考えていくのね。それで第一印象でも呼吸が速そうって事だったから呼吸の評価をしたところ、頻呼吸と正常よりはSpO2が低いってこと以外はそれほど異常は無かった。とするとオーバーにみても重症度は“軽度の呼吸窮迫”って所だね」
後輩
「ちなみに、今の説明では循環に関しての説明が先で、呼吸に関しての説明は後になってますけど、実際に患者評価したときは呼吸が先でしたよね」
ヌゥ
「まぁ、さっき言った“消化管出血の当たりをつけた”っていうのは、あなたからもらった情報を踏まえたものだったから、基本的な患者評価としての情報を一通り集めようと思ってABCDの順番で評価していったのよね」
後輩
「ふむふむ、それで結果的にPEARSの評価では患者の異常は拾えなかった?」
ヌゥ
「そうね、ABCを評価した限りでは少なくとも“すぐに介入しないと!”って慌てるような状態ではないと考えられたね。でも、あの覚醒状況だと・・・ね」
後輩
「まぁ良かったじゃないですか、寝てただけだったって事で」
ヌゥ
「そこなんだけどね・・・」
後輩
「何ですか?何か気になるんですか?」
ヌゥ
「ん~・・・」
※この症例はフィクションです