バイタル測定しようぜ
後輩
「○○さんが熱が出たので解熱剤持って行きます~」
ヌゥ
「・・・ねぇ?」
後輩
「はい?」
ヌゥ
「○○さんが熱でたって?」
後輩
「はい、ちょっと怠さがあって辛いから解熱剤を飲みたいそうです」
ヌゥ
「解熱剤を飲ませることは良いんだけど……、その熱って何の熱?」
後輩
「何の熱?・・・発熱?」
ヌゥ
「何で発熱してるの?」
後輩
「なんで?・・・感染ですか?」
ヌゥ
「感染?なんでそう思ったの?」
後輩
「いや、なんとなく・・・熱といえば感染かなと」
ヌゥ
「ふむ・・・まぁそれが感染の熱だったとして、そうなると他のバイタルにはどういう影響が出ると思う?」
後輩
「・・・血圧が下がる?」
ヌゥ
「え?血圧下がってるの?」
後輩
「いや、下がってませんよ。というか、体温以外のバイタル測定してないのでわかりません」
ヌゥ
「・・・ん?体温以外バイタル測ってないの?」
後輩
「・・・そうですね」
ヌゥ
「・・・なんで?」
後輩
「なんでって・・・必要ですかね?」
ヌゥ
「え?いらない?」
後輩
「でもただの発熱ですよ?」
ヌゥ
「何で体温しか測定してないのにただの発熱っていえるの?っていうかただの発熱って何?」
後輩
「・・・」
ヌゥ
「あ、ごめん。体温しか情報が無いのにただの発熱って言うから意地悪しちゃった」
後輩
「・・・めちゃくちゃ怖かったんですけど」
ヌゥ
「ごめんね。ただ患者の状態を体温でしか把握せずに判断するのはあんまり良いことじゃないと思うよ。それこそ、今の発熱が急を要する状態悪化だとしたら見逃しになっちゃうし」
後輩
「でも、○○さんはそれほど急を要する状態には見えませんけど」
ヌゥ
「でもそれって後輩さんの主観的な印象だけじゃない?それだと説得力に欠けるって言うか・・・後で記録として見返したときに自分がしっかり患者の状態を観察したかどうかの証拠としては弱い」
後輩
「証拠?」
ヌゥ
「だって、口ではどうとでも言えるじゃ無い?患者の状態悪化のスタートをちょうど見ていたとしても『私が観察したときは体調悪そうじゃ無かった!!』って言えば済むかって言われたら・・・」
後輩
「『え〜?本当に〜?』ってなる可能性もありますね」
ヌゥ
「そうそう、だから客観的な証拠になるバイタルは測定しておいた方が良いと思うよ」
後輩
「なるほど」
ヌゥ
「というか、単純にバイタルを把握しないで患者の何がわかるんだって問い正したいもんだわ。患者評価の一番基本になるところじゃない」
後輩
「いや~・・・」
ヌゥ
「基本的に、そんな看護師が多いのよね。発熱から血液培養が必要になるかもしれないって考えに至らないとか、体温の情報しか持っていないのに医師に連絡して医師に何をどうしてほしいのかよくわからんような報告をしていたりとか」
後輩
「・・・気をつけます。バイタル測ります」
ヌゥ
「気をつけなさい、バイタル測りなさい。あと手洗いしなさい」
後輩
「……え?最後になんて?」