PEAについて
もし、心電図モニターで波形が出ているから循環が保たれていると判断している方がいたら、それは間違いです。
心停止の中には「PEA」というものがあります。
無脈性電気活動(PEA:pulseless electrical activity)
秩序あるリズムや、やや秩序のあるリズムが混在するものの、脈拍が触知できない状態をいう。
洞調律であっても脈拍が触知されない場合は全てPEAとされる。
定義により除外される脈拍のないリズムにはVF、無脈性VT、心静止がある。
(『ACLSプロバイダーマニュアル2015』より)
心臓から電気刺激は検出されるけれども有効な心拍出量がないということですね。
また、心機能は問題なくても静脈灌流の低下で心臓が空撃ちしてしまうような状態も含まれるようです。
マニュアルにも
不十分な前負荷のために心臓が空になっているような状態も含まれる。
(『ACLSプロバイダーマニュアル2015』より)
とあります。
「前負荷」は以前ブログ『低血圧時の対応』で説明しました。
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https://dream-nursing.hatenadiary.jp/entry/2018/12/16/163136
まぁ、PEAはしょっちゅう遭遇するものでもないので、嚇かしすぎるのも良くないとは思いますが、
PEAのことも頭の中に入れておくと、モニターで波形があるから大丈夫という認識にはならないと思います。
モニターだけで患者評価は出来ません。
やはり、重要なのはベッドサイドで患者を実際に見て評価することです。
ちなみに、PEAで重要になってくるのは、原因検索とそれに対する治療です。
これらに関しては、ACLSを受講するとシミュレーションを通しても自分で考えさせられたりします。
一応『5H&5T』なんて呼ばれていたりします。
マニュアルのアルゴリズムを見ると右下に記載がありますね。
『Adult Advanced Cardiovascular Life Support』
Web-based Integrated 2015 & 2018 American Heart Association Guidelines for CPR and ECC
https://eccguidelines.heart.org/wp-content/uploads/2018/10/ACLS-Cardiac-Arrest-Algorithm-2018.png
5H
循環血液量減少(Hypovolemia)
低酸素血症(Hypooxia)
アシドーシス(Hydrogen ion)
低カリウム/高カリウム血症(Hypo-/hyperkalemia)
低体温(Hypothermia)
5T緊張性気胸(Tension pneumothorax)
心タンポナーデ(Tamponade, cardiac)
毒物(Toxins)
血栓症、肺動脈(肺塞栓)(Thrombosis, pulmonary)
「よく見ると5つじゃない!」
というツッコミをするのもこの分野の醍醐味です(笑)(黄色いマルの中)
ちなみに、リンク先のアルゴリズムは2018アップデート版なので、薬物の欄にリドカインが復活しているところにも注目してください。(緑のマルの中)
描いてて思いましたが、結局PEAってバイタル実測しないと判断できないのでは?
というわけで皆さん
バイタルは〜
Let's 実測(゚∀゚)!
参考文献
ACLSプロバイダーマニュアル2015