発熱の評価
バイタルサインのなかでみんなが気にする頻度第一位といえば体温じゃないでしょうか?
血圧も気にされがちですが、出血など緊急性が高い症状があったときに気にされることが多いので
何かの症状 + 血圧
という式が成り立つことが多いのかなと思います。
その点、体温は38度を超えるとそれだけで気にされがちです。
38度を超えると、条件反射のように医師に解熱剤の指示をどうするかを確認する看護師も多いかもしれません。
しかし、発熱は感染症であってもなくても(吸収熱、薬剤熱、腫瘍熱など)起こり得ます。
さらに
発熱は、感染症が「感染症らしい」ことを教えてくれる意味では価値が高いのですが、「どのような感染症か」という点については情報量が小さいのです。
なので、その「どのようか感染症か」を明らかにするために医師たちは問診・所見をとっていくわけです。
さて、私たち看護師は発熱が見られた時点で医師へ報告することが多いわけですが
ここで問題になるのは「この発熱は緊急性が高いものなのかどうなのか」
というものだと私は考えています。
私は救急外来にいたことがないので、入院患者限定の話になってしまいますが
感染症で緊急度の高いものは、
・敗血症
・髄膜炎
・発熱性好中球減少症
だと私は考えています。まぁほかにも色々な意見があると思いますが、まずはこれを認識するよう心掛けています。
発熱性好中球減少症は、がん治療などで血球減少が見られており、さらにその状態で発熱も見られる病態です。
戦ってくれる免疫系に必要な好中球が少ない・もしくはいないためすぐに重症になりやすく、痰などの症状も出にくいため、どこの感染かわからないことが多いです。
なので、血液培養採取したら、すぐに広く起炎菌をカバーできる抗生剤を使用します。(原因臓器の検索は続けます)
髄膜炎は、中枢神経を包む髄膜に炎症が起きている病態なので
頭痛や意識レベル低下・嘔吐などが起きます。
身体所見が特徴的だったりしますね(Jolt、Neck flexion、後部硬直、Brudzinski、Kernig)
それぞれ、とても簡単で興味深い所見なので調べて見てください。
そして敗血症です。
敗血症に関しては以前ブログでも日本版敗血症診療ガイドライン2016に本当に軽く触れました。
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低血圧の対応③
https://dream-nursing.hatenadiary.jp/entry/2018/12/22/111036
そして、その中でもqSOFAスコアのことを紹介してあります。
簡単にいうと
- 意識レベルの変容
- 血圧≦100mmHg
- 呼吸回数≧22回
(非ICU患者の場合)
上記3項目のうち2項目以上該当すれば敗血症らしさが高い。
というものです。
最初これを知った時、簡単すぎて興奮しました。
発熱が見られた患者を片っ端からこれで評価したものです。
ナースコールがあって手ぶらで患者の元に行ったら38度あったという場合でも
意識は会話から(そもそもナースコールで発熱が教えられればレベル低下はなさそうですが)
血圧は橈骨動脈を触って(脈が触れなければ80mmHg以下)
呼吸は実測で
と、時計さえあればほぼ評価できます。
まぁ、血圧が大雑把な評価になってしまいますので気になる方はしっかり測りましょう。
大切なのは緊急性が高いかどうかを判断することです。
解熱剤の使用やクーリングはその後でも充分間に合うと思います。
(解熱剤、クーリングにも使用の是非があるようですが)
そして、注意してほしいのがこのqSOFAスコアも完璧なものではありません。
見落としに繋がる症例もあると思いますので
信頼しすぎも禁物です。
……つづく
参考文献
日本版敗血症診療ガイドライン2016
タラスコン救急ポケットブック