低血圧の対応③
次は昇圧剤に関してですが、ざっくりいうとα作用とβ作用のどちらが前面に出るかで作用が変わってきます。
α作用、β作用に関して
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https://dream-nursing.hatenadiary.jp/entry/2018/12/15/110015
α作用の血管収縮薬かβ作用の強心薬かというように、最初は絞って学んでいった方が効率的かなと思います。
考え方の基本として、
『昇圧剤は低灌流(MAP(平均動脈圧)が60mmHg未満であるか、またはSBPがベースラインから30mmHg以上低下した場合)による臓器機能不全がある際に必要とされる』
(私訳UpToDate)
を把握しましょう。
そして投与経路は可能なら中心静脈カテーテルを使用を選択します。
これに関しても、UpToDateに血管外漏出の危険性をふまえた投与経路に関しての注意が記載されています。
また、
『薬剤選択はショックの原因に基づくべきである』(私訳UpToDate)
とも記載されていますが、実際それぞれのショックには何が一番効果的な薬剤かというのはわかっていません。(・・・多分、誰かご存知?)
現時点では、敗血症性ショックの場合の昇圧剤はノルアドレナリンが第一選択となっています。
敗血症性ショックと限定しているのは、上記に記載したとおり、その他のショックに対する昇圧剤の第一選択に関しては十分な研究・データがないとされているからです。
なので、とりあえずノルアドレナリンと代表的な強心薬ドブタミンに関して触れていきます。
まず、ノルアドレナリンは血管収縮薬になります。
イラストここですね(笑)
ノルアドレナリンはα1、β1作用の両方に作用し、強い血管収縮作用があります。末梢血管を収縮させて血圧をあげようというわけです。
次は強心薬のドブタミンですが
ドブタミンはβ作用が主なものなので、心筋の収縮力を上昇させます。そして低量(5μg/kg/分)では、血管拡張作用により後負荷も軽減するとのことです。
そして、重症心不全・心原性ショックで使用が考慮されるようで、単純に「血圧を上げたい!」で選択されるような薬剤ではないようです。
二つの薬に関しては簡単にこの位にしますが、
一時期私の中で話題だったドパミンについても触れます(笑)
使用後、不整脈が増えるとの事で現在はあまり使用に積極的ではないようです。
一応こんな感じ
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1〜2mcg/kg/分だとドパミン受容体に働き、選択的に血管拡張をもたらす。(中略)これらの現象がもたらす臨床的意義は明らかで無い。
2〜5mcg/kg/分だと様々な循環動態の変化をもたらす。血管拡張はたいてい心拍出量の増加とバランスが取れて全身の血圧にはほぼ影響がない。
5〜10mcg/kg/分だとβ1レセプターを刺激し、心拍出量を増やすことで心拍数を変化させる。
10 mcg/kg以上だと血管収縮をもたらす。
私訳UpToDate(mcgはμg)
まぁ頭の片隅に入れる程度で、必要ならその都度確認といったところでしょうか。
この他にも昇圧剤は種類がありますが、とりあえずこの辺で(私がこの辺しか扱ったことがないというのもあります)
これらをふまえて考えると、敗血症の管理を学んでいくと基本的な低血圧の管理が身につくかな〜という印象があります。
というか、それが1番近道なのでは?
是非これもご一読してみてはどうでしょう。
日本版敗血症診療ガイドライン2016
http://www.jaam.jp/html/info/2016/pdf/J-SSCG2016_ver2.pdf
参考文献
『UpToDate』
『ER・救急999の謎』
『バイタルサインからの臨床診断』