Dream-Nursing

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輸液量の妥当性の評価方法って知ってる?:SSCG2021

敗血症ガイドライン2021の続きです。

 

乳酸値の次は敗血症に対する治療介入について述べられています。

 

まずは輸液の負荷に関する内容です。

 

4.敗血症および敗血症性ショックは救急疾患であり、 治療を直ちに開始することをお勧めします。

 

これにはあまり言及しませんが、 敗血症自体が内科的エマージェンシーの一つなので特に驚くこともないかと思います。

 

5.敗血症によって引き起こされた低灌流または敗血症性ショック の患者には、治療最初の3時間以内に少なくとも30mL / kgの晶質液を投与することをお勧めします。

 

これは、この量以下の晶質液投与量だった患者がICUの滞在時間・ 日数が長かったという結果に基づくものです。

 

6. 敗血症または敗血症性ショックの成人の場合、 身体検査または静的パラメータのみではなく、 動的パラメータを使用して輸液を評価することをお勧めします 。

 

上記推奨のように敗血症には大量の輸液投与が推奨されていますが 、これにはデメリットもあります。

 

それも踏まえて、漫然とした輸液投与をするのでは無く、 量が適切かをしっかり判断することの重要性が述べられています。

 

これは大量輸液が体液過剰に繋がり呼吸循環に影響を与える危険性 や腎機能の低下などが考えられるためです。

 

これらを予防するためにも、 輸液量が必要以上になっていないかを判断する指標が必要になりま す。

 

そして、その指標を静的指標(心拍数、収縮期血圧、中心静脈圧) だけで無く、動的指標( 下肢挙上と組み合わせた心拍出量の評価や輸液負荷に対する1回拍 出量の変化や脈圧の変動) も併用して評価することをガイドラインでは推奨しています

 

7.敗血症または敗血症性ショックの成人の場合、 血清乳酸を使用せずに治療をするよりも、 乳酸が上昇している患者の血清乳酸を減らすための方法をとることをお勧めします。

 

乳酸値の増減によって患者の予後が予測できるというデータから、 乳酸値をモニターしながらの治療介入が推奨されているようですね 。

 

8.敗血症性ショックの成人の場合、他の還流手段の補助として、 毛細血管補充時間を使用して治療の評価をすることをお勧めします 。

 

なんと、これは前回私のブログでも紹介したのと同じ内容ですね。 乳酸値だけで無く、臓器灌流障害の評価方法としてCRTを活用す ることが推奨されています(弱いエビデンスレベルですが)

 

前回ブログで紹介した論文も載っていますね。

 

ここまでを踏まえてまとめると、今回の輸液の内容に関しては2016のガイドラインから大きな変化は見られないように考えられます。

 

  • 初期の輸液は十分に、 しかし輸液量の評価をしっかりして入れすぎで起こる合併症には注意するように。
  • そのための指標となるものはまだ確立されているわけでは無いが静的指標・動的指標を組み合わせて評価を。
  • 乳酸値は予後の予測に有用なので測定を。
  • 臓器灌流障害の指標は乳酸だけで無く、CRTも使ってみてね。

 

看護師としては、やはり輸液量に驚かないことと乳酸値の評価、CRTの活用に意識を向けたいところです。

 

輸液量の評価とかは看護師だけでは難しいので頭に入れる程度で良いかと。

 

まぁFrank-Starlingの曲線とかを押さえておけばなんとなく有効な輸液量のイメージは付くと思います。

 

Frank-Starlingの曲線はクリティカル系の本には載 っていることが多いと思います。

 

私の手持ちの本、『ER・救急999の謎』にはFrank- Starling曲線について記載があるところに輸液反応性を見 る3つの方法というのも記載があるのでお勧めです。

 

『集中治療、ここだけの話』にも輸液反応性を見るにはFrank- Starling曲線をイメージして判断をとあったりします。

 

なんとなくでもFrank-Starling曲線、 意識出来ると患者評価に幅が出るかもしれません。

 

参考文献

ER・救急999の謎

ER・救急999の謎

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