看護師さんCRTみようぜ:SSCG2021
敗血症ガイドライン2021の続きですが、
qSOFAのあとには乳酸値について触れられています。
3. For adults suspected of having sepsis, we suggest measuring blood lactate.
敗血症の疑いがある患者の場合は乳酸を測定することが推奨されています。
理由としては、乳酸は多臓器不全になると増加する数値で、 乳酸値が高いほど死亡率が高いとされていたり敗血症の治療を開始した後も乳酸値が改善していないと死亡率が高いと言われています 。
ここで乳酸値と言われると皆さんが思い浮かべる検査は何か?
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・・・はい、血液ガスですね。
血液ガスを取ると概ねLacという項目で乳酸値が測定されると思 います。
正確な乳酸値が確認したい場合は血液ガスのLacを見ましょう。
乳酸値基準範囲(成人) 0.56~1.39 mmol/L(5~12 mg/dL)←単位に注意! 自分の施設の検査の単位を確認しておきましょう。
敗血症が疑われる患者のスクリーニングとしても乳酸値を測定することが推奨されるということですね(弱い推奨ですが)
ただ、 当たり前ですが乳酸値という一つの項目だけでは敗血症の確定診断にはなりません。
臨床上の症状やバイタルサインの変化なども踏まえて精査していく 必要があるので、そこはお間違いなく。
そして、ちょっと話は変わりますが、 血液ガスを測定するには血管をさして血液を採る必要があります。
一般病棟ではそれほど頻回にやるような検査ではない( 病棟もある?)ので慣れないところもあるかも知れません。
そして針を刺すので患者本人にも苦痛が伴います。
そこで、私が重要視しているのが皮膚の所見です。
循環の指標(窓という表現もされる)としてよく挙げられる3項目 が
- 意識レベル
- 尿量
- 皮膚所見
です。( 田中竜馬先生の著書や上田剛士先生の著書他で紹介されています)
この中でも皮膚所見は誰でも見ることが出来て簡便なので活用しな い手は無いと私は考えています。
実際、CRT(末梢血管再充填時間) は敗血症患者で有効活用が出来るという論文もあります。
上田剛士著 「高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス」 より
敗血症患者で初期の輸液介入をした後の患者評価を比較した場合、 CRT延長があった患者とCRTが正常だった患者とではCRTが 延長している患者の方が死亡率が高い。
つまり、CRTの改善具合によって予後の予測が出来そうだという ものです。
これを知ったら明日からみんなCRT見ちゃいません?
参考文献