Dream-Nursing

世の中の看護師さんに発信したい、自分で学んだ文献などを記載する備忘録。看護師さん〇〇しようぜ!

感染症についてちょっと理解を深めてみようぜ:SSCG2021

Surviving sepsis campaign: international guidelines for management of sepsis and septic shock 2021 | SpringerLink

SSCG2021続き

 

11. For adults with suspected sepsis or septic shock but unconfirmed infection, we recommend continuously re‑evaluating and searching for alternative diagnoses and discontinuing empiric antimicrobials if an alternative cause of illness is demonstrated or strongly suspected

 

11.敗血症または敗血症性ショックが疑われるが感染が確認されていない成人の場合、 別の疾患の診断を継続的に再評価および検索し、 別の疾患が実証されるか、 強く疑われる場合は経験的抗菌薬を中止することをお勧めします。

 

敗血症か否かの判断は更に重要になってきているような表現ですね 。

 

にもかかわらず、qSOFAスコアの使用を推奨しなくなった今回 のガイドラインを踏まえて考えると、 中々味わい深い推奨文のように感じます。

 

しかし、そもそもqSOFAがあった2016のガイドラインでも qSOFAスコアが2つ以上陽性であれば敗血症を“疑う”(「 診断する」ではなく「疑う」)ということだったので、

 

敗血症の診断をするのに意識することはあまり変わらないと思いま す(まぁ、我々看護師は診断自体できませんが)

 

勿論、発熱が有るというだけで「敗血症だ」 となってしまうのは短絡的で、

 

敗血症の定義は「 感染症に対する制御不能な宿主反応に起因した生命を脅かす臓器障害」

 

となっているのを改めて認識しましょう。

 

更に、この章では抗生剤投与に関しても触れられています。

 

「経験的抗菌薬を中止」とありますが、 経験的抗菌薬投与とは何でしょうか?

 

ここでは日本敗血症ガイドライン2012の記載を引用しますが、

https://www.jsicm.org/SepsisJapan2012.pdf

 

「経験的治療では,原因感染症を推定し, その感染症で疫学的に頻度の高い原因菌を十分カバーできる広域抗菌薬の投与を行う」

 

とあります。

 

・・・わかりにくいですかね?

 

こんなのもあります。

 

阪大病院ICTマンスリー「デ・エスカレーションって何?」より

https://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/home/hp-infect/file/ictmon/ictmon216.pdf

 

まぁこういう抗菌薬の使用方法に対する専門的な話をするとかなり 壮大な話になってしまうのですが、

 

興味があれば調べてみてください。

 

なんにしても、 敗血症っぽくて敗血症に準ずる治療が開始されたけど、 再評価を繰り返していくと感染性の疾患では無いと診断があった場 合は敗血症に準ずる介入である経験的抗菌薬の投与をやめる

 

って事ですね。

 

漠然とした抗菌薬の投与継続は耐性菌の問題もあるので極力減らしていこうというAMRの動きにも一致しています。

 

薬剤耐性(AMR)対策について|厚生労働省

 

感染症の治療って考えることがたくさんありますね。

 

また、『院内発症の不明熱:入院中のがん患者の発熱は4割が非感染症であり、感染症以外にも薬剤熱、腫瘍熱、DVTをまず考慮す る』by感染症プラチナマニュアル

 

と、 あるように発熱が有っても感染症以外が原因の場合もあります。

 

今回は敗血症に焦点を当てた記事になっていますが、実臨床だと「 敗血症・感染症じゃ無かった」では話は終わりません。

 

じゃあこの患者は何故熱が出たのかを考えて動くことも大切です。

 

もちろん診断は医師がしますが、 日頃の患者の状況と何か変化がありそうであれば一番接する時間が長い看護師が気づく可能性が高いはずです。

 

患者さんの変化を見逃さないように日頃から心がけましょう。

 

参考文献

感染症プラチナマニュアル Ver.7 2021-2022

感染症プラチナマニュアル Ver.7 2021-2022

  • 作者:岡 秀昭
  • メディカルサイエンスインターナショナル
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