呼吸回数測定の重要性が詰まった論文③
さて、続きです。
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呼吸回数測定の重要性が詰まった論文② - Dream-Nursing
どの位の呼吸回数の閾値が患者介入に値しますか?
専門科チームや救急チームなどの医療緊急対応チームを起動するためのシステムの中で、成人の「異常な」呼吸回数の定義は、14 ~36回/分までと様々です。
一部の研究者達は、呼吸回数が記録されていない場合での、頻呼吸の代用としては「異常な呼吸器症状」または呼吸困難などの症状に依存してきたとしています。
最近のエビデンスとして、呼吸回数が20回/分を超える成人はおそらく体調不良であり、成人で呼吸回数が24回/分を超えると、致命的な病気になる可能性があるとされています。
こちらでは異常な呼吸回数の定義の幅が広いことが指摘されています。
確かに論文だけでなく、教科書として出版されている本の中の呼吸回数の正常範囲にもバラツキがあるようです。(手元に教科書がいくつかあるようなら確認してみてください。なければ本屋さんへゴー)
この章では具体的に介入が必要そうな呼吸回数の線引きはどこかを、いくつかの論文を踏まえて述べています。
最後の1行は、一つの結論ですね。SIRSの呼吸回数の項目のことやNews Scoreのことを踏まえても妥当な所ではないかなと感じます。
これに加えて敗血症を予測するqSOFAスコアが22回/分を閾値にしているのも抑えておきたいところです。
個人的には、呼吸回数20回/分の患者は割といる印象がありますが、22回/分以上となるとそうそういないような気がします。(もちろん職場によるとは思いますが・・・)
なので、「呼吸苦などの呼吸器症状がないから呼吸状態の評価は問題ない」と単純に考えるのではなく、呼吸回数24回/分を超える患者は、何が原因かをしっかり考えた観察や介入をする必要があると考えられます。
その原因が低酸素なのか高炭酸なのかアシドーシスの代償なのか中枢の興奮なのか・・・是非見極められるよう情報を集めてみてください。
なぜ呼吸数がそれほど重要なのですか?
肺胞換気(呼吸回数と一回換気量の積)は通常、中枢および末梢の化学受容器と肺受容器の作用によって注意深く制御されています。換気は、酸素の動脈分圧(Pao2)と二酸化炭素の動脈分圧(Paco2)の両方によって駆動します。Paco2が最も重要なトリガーです。
身体は、一回換気量と呼吸数の両方を増加させることにより、低酸素血症と高炭酸血症を矯正しようとします。よって、これらの状態(低酸素血症と高炭酸血症)は、呼吸数を測定することによって検出できます。
重要なのは、腹部の病状や敗血症などの代謝性アシドーシスを引き起こす状態も、水素イオン濃度の増加によって一回換気量と呼吸数の増加を引き起こし、CO2生成の増加につながることです。
さらに、高炭酸症または低酸素症を引き起こすその他の状態も、肺胞換気を増加させます。
実際、呼吸数は、呼吸器系だけでなく、多くの身体系における重度の障害の重要な指標であり、したがって有害事象の主要な予測因子です。
低酸素症および高炭酸症のすべての原因が一回換気量および呼吸数の増加をもたらすわけではないことに注意することが重要です。
病院で一般的に使用されている麻薬などの薬物は、呼吸の受容体と低酸素症および高炭水化物に対する呼吸反応を抑制します。
これらの状況では、意識のレベルの低下に関連して呼吸回数が低下する場合があるため、呼吸数は有害事象を監視するための有用なツールである可能性があります。
こちらでは、今までブログで頻呼吸の原因として述べてきた疾患に軽く触れています。
やはり、頻呼吸だからって呼吸器系の問題を疑うだけでなく他にも頻呼吸を呈する重症疾患があるから注意しろと記載されているように思います。
加えて、今までは頻呼吸に焦点を当てた情報提供をしてきましたが、こちらでは徐呼吸についても軽く触れられています。
徐呼吸は私のブログではあまり取り上げていなかったような気がしますが、重要な所見です。
ともすれば、心停止直前かもしれません。
呼吸中枢が働かない理由があるのです。
その根本への介入を考えながら動かないと、酸素の取り込みが少ないので回復しようがありません。
急変時は酸素をいかに全身に回すかが患者回復の鍵です。
頻呼吸にばかり目を向けずに、徐呼吸にも目を向けられると良いですね。