呼吸を構成するもの:呼吸回数が重要な事を考える為の基礎知識
呼吸回数を数えるのが重要な理由は、
「急変前の患者が予測出来るから」
と今まで何回も言っておりますが、そろそろもう一歩踏み込んでみましょう。
呼吸のことを掘り下げて考えると、患者の状態把握に役立ちます。
それでは頻呼吸を呈している患者の身体では、いったい何が起きているのか。
これを掘り下げてみます。
まず、呼吸とは何かを考えてみましょう。
呼吸とはざっくり言うと、
『体外から取り入れた酸素を各組織に送り届けてエネルギーをつくり、その代謝により産生された二酸化炭素を肺胞まで送り届けて体外に出す』
を繰り返していることを言います。
呼吸を呼吸器の流れで見ると、上気道・下気道を通って体内に入った酸素が最終的には肺胞まで流れ着きます。
上気道→下気道→肺胞
その後、酸素は肺胞と接する血管に流れ着いた赤血球に移ります。
更に、肺胞とそこに接する血管との関係は、酸素を赤血球(ヘモグロビン)に移すだけでなく、細胞から出された代謝産物の二酸化炭素を乗せた赤血球から肺胞に二酸化炭素を移します。
ここまでの「外から酸素を取り入れて肺胞でガス交換(酸素と二酸化炭素を受け渡し)して二酸化炭素を外に出す」事を「外呼吸」と言います。
ガス交換によって酸素を受け取った赤血球は、心臓によって作られる血流に乗って全身に運ばれます。
そして、最終的にはそれぞれの組織に酸素を届けてそこでエネルギーが作られます。
そして、エネルギーを作る代謝で産生された二酸化炭素をまた受け取り、肺胞まで運びます。
ここまでを「内呼吸」といいます。
さて、ここまで考えると呼吸には呼吸器系だけでなく、心臓や血液(赤血球)が関与していることがわかります。
つまり、呼吸の問題を考える上で、呼吸器だけが原因となるわけではなく、心臓や血液(赤血球)などの循環系の問題も考える必要があるわけです。
なので、循環不全や赤血球(ヘモグロビン)低値なども低酸素の原因になります。
この辺が認識できていないと、私のように
私
「あれ?受け持ちの患者が頻呼吸だな?SpO2 もなんとなく変化しやすいような……呼吸器症状無いし、肺炎も無いし……なんだ?何故呼吸がぁぁ?」
という呼吸器にしか目のいかない患者評価になりがちです。(抗がん剤による血球減少(ヘモグロビン低下)が原因)
まとめ
呼吸の問題は呼吸器だけの問題では無く、循環(心臓・血球など)の問題も考えることが必要である。