論文使いのリハビリスタッフが現れた(゚∀゚)
以前の経験ですが……、
SpO2 が極端に低下する事を週に数回繰り返している長期臥床患者がいました。
長期臥床のため、肺の背側の多くの部分に分泌物が貯留し、広範囲に無気肺が生じているのが原因だと考えられていました。
それが、何かのきっかけで分泌物が中枢寄りの気管支を塞ぐ事になり、数十分から数時間かけて吸引をし続けなければSpO2 の低下は解消されませんでした。
積極的な治療を希望していない患者ではありましたが、SpO2 の悪化の度に呼吸苦が出現し、また、さらに苦痛の多い吸引をされなければならない事に疲弊していました。
看護師はといえば、そのSpO2 悪化のタイミングが読めないので、介入に積極的ではありませんでした。(良い事ではありません。)
体位ドレナージも、それがきっかけでSpO2 が低下するのではないかと考えられ、
恐る恐る、効果があるのか無いのかわからないほどの角度しかつけることができていませんでした。
しかし、この状況が続く事に急変嫌いの私は辟易していました。
まず、何がきっかけなのかを探り、それを可能な限り少なくする事を考えました。
しかし、SpO2 低下のタイミングは安静にしている時に突然、が多いようで明確なタイミングはわかりませんでした。
だったら根本を叩こうと思い、無気肺をどうにか出来ないかを考えました。
そこで目をつけたのが腹臥位療法です。
正直に言うと、腹臥位療法の理解は今でもしっかりとは出来ていないと思います(笑)
その時も、「腹臥位にする事で背部をしっかり解放すれば肺の広がりが改善するんじゃないか、さらにドレナージも出来れば分泌物の偏りや排出が改善するんじゃないか」位の考えでチームに提案しました。
ただ、それだと労力に見合う効果が得られるかわからないということで結局様子見になっていました。
そこで、毎日来てリハビリを担当してくれているPTスタッフに相談しようと考えました。
その日はいつもの担当PTの方が休みで臨時のPTが来ていました。
臨時PT
「あ〜、わかりました。じゃあ担当PTは明日は来ると思うんで伝えておきますね」
と言われてその日は終わりました。
翌日、担当PTに話しかけられました。
担当PT
「いや、正直看護師サイドからこういうこと言われるとは思いませんでした。本当は私達の方から提案しなければならなかったのかもしれません」
と言って論文何個かと腹臥位のやり方を動画で説明した海外のリンクを持ってきてくれました。
早速やってみようという話になり患者と医師の許可を取って試みてみました。
何日か実施してみましたが、その時は患者がNHFを付けていて、チューブのリーチが短い事で完全腹臥位が難しいという話になりました。
やっぱり、思い付きで何かやろうとするのも難しいのかもしれないと私が考えていた所、ある日担当PTが
担当PT
「これどうでしょう?」
と、「前傾腹臥位」が紹介されている論文を持ってきました。
これならば、チューブのリーチが短くても出来るかもしれないとの事でしばらく行う事になりました。
その後は患者の状態が徐々に低空飛行になり、医師からの許可が出なくなったので、
SpO2 の突然の低下の頻度が減ったかどうかの明確な効果は証明出来ませんでしたが、
担当PTと共に患者の苦痛を和らげる事を考えて動いたこの出来事は忘れることが出来ません。
この時は常に患者の許可を取り、患者の苦痛を取るために動いていたつもりではいましたが、
もしかしたら、医療者の押し付け・自己満になってしまっていたかもしれません。(明確な効果を証明出来ていませんしね)
ただ、この出来事で
リハビリスタッフは論文をもとに臨床に介入してるんだなぁ
と実感するという事実があったことを述べたかったのです。
それにしても、提案したら翌日に論文いくつも集めてくるってすごくないですか?
私達看護師も論文を活かした臨床への介入を頑張りましょう(^^)