ハイフローセラピー
病棟で患者にハイフローセラピーを導入することがあります。
簡単に言うとめっちゃ濃い酸素療法なんですが、医師はあまり積極的ではない御様子。(ウチの医師だけでしょうか?)
「魔法じゃないんだから、やったから全部オッケーってわけじゃないし」
などと言われまして(確かにそうですが)
適応であった患者に対しての導入を延び延び延び延びさせた上で、
平和な夜勤の時に結局ハイフローセラピーの指示をバタバタ出してきてワニワニパニックにさせられた思い出が何回もあります。
まぁ、導入を渋ってた時点で、こちらから早めに提案という形でアプローチできればよかったんですが……
そもそも、そんなに知識も無いのでこれを機に学習しようと思います。
ハイフローセラピー(HFT)
特徴その①
とりあえず、先ほども書きましたがめっちゃ酸素が濃い。
いわゆる酸素カヌラ、マスク、リザーバーよりも断然酸素の濃度が濃いです。
(どうやら30L/分以上の混合ガス(酸素と空気)を供給できるものを「高流量システム」と言うようです。)
だから酸素化の改善には有効です。ただ、人工呼吸器ではないので換気はしてくれません。
(ちなみに、呼吸に関しては、酸素化と換気は分けて考えられるようにしておくと良いかも。偉そうに書いていますが私もそういう風に考えようと意識し始めたのは最近)
特徴その②
今まで、マスクorリザーバー使用患者がそのままじゃご飯食べられない、カヌラに変えると酸素の勢いで鼻痛くなるし、だからといって酸素減量するとSPO2保てないし……ってことありませんでしたか?
ハイフローセラピーは酸素が濃いくせに鼻から投与できます。だからこれを付けたまま何か食べられたりできる。
めちゃ加温・加湿もされてるから気道の乾燥もしにくい。気道の線毛運動が維持され、喀痰も排出しやすいという事らしい。
特徴その③
酸素の勢いが凄いので、一応PEEP(※1)がかけられるらしいです。だから肺胞が潰れきらない。潰れきらないから中に酸素が残ってれば血液とガス交換できるし、次の呼吸の時も肺胞が膨らみやすい。
PEEPって何?って方は、自分で調べてください。(※2)
まだ私の知識では上手に説明できません。
特徴その④
解剖学的死腔が洗い流されて酸素化に効果的である。
少し難しそうに言ってますが、要は勢いがすごくて鼻腔内が高濃度酸素で満たされるから吸った時に高濃度酸素酸素がいっぱい肺に入りますよってことだと思う。
例えるなら鼻腔内がリザーバーマスクの袋みたいな状態になるってことですかね?
さてさて、次から機会があればこれらをもとにして医師との交渉をしてみようと思います。
特徴③、④が医師的にアプローチするにはいいのかしら?
でも、「そんなこと言われなくても分かってる」ってなることも考えられます。
そうすると特徴②でアプローチするのもいいかなと。いわゆる患者のQOLを高めることに繋がるという表現で攻めていく。
まぁ、別に医師との交渉は戦いではないので最終的には患者の為になればいいんですけどね。
※1
PEEPという言葉が出てきて嫌気がする方いますか?私はPEEPに限らず、呼吸器系のアルファベットの羅列が大嫌いでした。でも、自分で学んだ事を後輩にドヤ顔で説明し「俺、出来るやん」と自画自賛してモチベーションを維持してなんとか少しずつ学習しています(笑)
※2
PEEP=呼気終末陽圧なので「息を吐き切った後に肺胞にかかる圧」です。普通の肺なら0でも肺胞が潰れないのですが、肺障害が大きいと肺胞が潰れやすくなります。潰れきったものを拡げるのは難しいので潰れないように圧をかけておく、これがPEEPをかける意味………って説明で伝わる?(もしくは合ってる?)