バイタルサインのポイント台本②
(前回の続き)
次は呼吸数の評価です。
25回というのは皆さんどう評価しますか?
頻呼吸ですね。
頻呼吸での代表的な3つの病態は、
①呼吸不全
②換気障害
③全身炎症
(『J-COSMO』Dr.ゴローのバイタルドクター臨床日記より)
になります。
①は血圧からも疑われましたがSpO2が低下していないので、低酸素にはなっていないようです。
②は現在の情報からは判断出来ません。血液ガスの情報が必要です。
③は感染症が疑われているので可能性はあります。
まとめると、③の全身炎症の可能性があります。
ここで全身炎症を把握するツールを紹介します。
全身炎症性症候群(SIRSと言いますが)と判定するのに下記の情報を集めます。
SIRS(全身性炎症反応症候群)
体温 <36 ℃ または >38℃
脈拍 >90回/分
呼吸数 >20回/分
または PaCO2 32mmHg以下
白血球 >12,000/mm3
または<4,000/mm3
または>桿状核球(band)10%
SIRSは4項目の内、2項目以上が当てはまるとSIRSが確定となります。
現在の情報では採血データはありませんが、バイタルサインの情報だけ見ても、体温・脈拍・呼吸の3項目が当てはまっているのでSIRS陽性となります。
まとめると、「感染症によるカテコラミンリリースが起こり、全身炎症性症候群(SIRS)になっている」ことが一番考えられるものになります。
バイタルサイン以外の所見である悪寒も感染症に伴う症状の可能性があります。
感染症が疑われるとのことですが、ここから先の何の感染症かを鑑別するのは医師の仕事です。(看護師が出来ても良いですが)
患者はバイタルサインから感染症がありそうということがわかりました。
では、看護師が何を意識して動く必要があるか。
患者の状態を安定させることです。
感染症で一番怖いのは、敗血症になることです。
現時点では「全身炎症」ではありますが、「敗血症」には至っていません。
この敗血症の評価ができるツールもありますが……今回は提示しません。
バイタルサインから患者評価をすることに焦点を当てて学んでいきましょう。
今の時点では、患者安定化の介入が即必要というわけでなさそうです。(採血などの検査は必要でしょうが・・・。)
しかし、敗血症になった場合は患者を安定化させるための介入をすぐに行う必要があります。
患者の状態安定化の基礎となるのは、頻回な患者評価です。
そういう意味でも同じ患者でまた患者評価をしてみましょう。
というわけで、次の事例です。
緊急入院の患者Aが病棟に到着した。
腹痛は続いており、悪寒があり震えてる。
体温38.8℃ 血圧140/50
脈拍123回 呼吸回数26回
SpO2 94% 会話は可能だがぐったりしている
この患者の評価を先ほどと同じようにやってみましょう。
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では、今回のまとめです。
• 看護師は検査オーダー出来ないので自分たちで得られる情報と言えばバイタルサイン(あと身体所見)です。
• 測定するだけなら誰でも出来るので、得た情報をどう評価するかを学びましょう。