口がピリピリ……?
後輩
「ヌゥさん」
ヌゥ
「はいはい?」
後輩
「ちょっと気になる患者さんがいるんですけど?」
ヌゥ
「あら?どしたの?」
後輩
「ちょっと前に、午後の検温に行ったら△△さんが口の中がピリピリするって言ってて」
ヌゥ
「ふむ」
後輩
「今また様子見に行ったら唇の方までジンジンしてきたらしいんですよ」
ヌゥ
「はぁはぁなるほど・・・、それでそれで?」
後輩
「医師にそのことを伝えたら様子見って言われたんですけど」
ヌゥ
「ふ~ん・・・、医師にはどうやって報告したの?」
後輩
「口の症状とバイタルを報告しました」
ヌゥ
「なるほど」
後輩
「バイタルもそんなに大きな変化は無かったんですよ。でも、なんとなく気になるんでヌゥさんに報告してみました」
ヌゥ
「あ、そうなの?ありがとう。じゃあ一緒に行って患者さん見てみましょうか」
後輩
「え?行くんですか?」
ヌゥ
「だって、行かないと患者さんの状況わからないし」
後輩
「まぁ、そう言うとは思っていましたよ」
ヌゥ
「ちなみに今患者さん何かやってるの?」
後輩
「別に特別なことは何も、検温前に抗生剤投与し始めたくらいですかね」
ヌゥ
「そう・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
後輩
「△△さん」
△△
「ふぁい」
後輩
「あれから口の感じはどうですか」
△△
「なんか、段々ふよくなってるよふな気がひます」
後輩
「強くなってる?」
△△
「ふぁい」
ヌゥ
「・・・△△さん、今何か食べてます?」
△△
「いいえ、なにほ食へてまへん」
ヌゥ
「喋りづらいですか?」
△△
「なんとなふ」
ヌゥ
「ふむ・・・、今落としてる点滴を止めよう。ちょっとこれはアレルギーかも」
後輩
「アレルギー?」
ヌゥ
「点滴し始めてから症状出てきた?」
△△
「ほう言われるとほう」
後輩
「・・・確かに点滴つないでから訴えてきましたね」
ヌゥ
「話しづらいみたいだし、なんとなく唇が浮腫んでるような気がするし・・・息苦しいです?」
△△
「さっきよりは・・・」
ヌゥ
「ん~なんか頚の皮膚が赤いね。ちょっと服の下見ますよ~・・・、首から胸にかけて赤く膨隆がある」
後輩
「アレルギー止めかなんかいります?」
ヌゥ
「いや、ちょっとその先が必要かも・・・、私ここにいるから医師への報告と救急カート持ってきてくれる?」
後輩
「救急カート?そこまで悪いです?」
ヌゥ
「第一印象
外観△(なんとなくぼーっとしてる?)、皮膚色×(発赤あり)、呼吸△(喋りにくい、軽度呼吸苦)で患者評価必要。
一次評価
A:開通・・・だけどアレルギー疑いで呼吸苦出始めって事は、気道の問題がもう出てると考えてすぐに介入が出来るようにしておきたい」
後輩
「ただ、一回医師に様子見って言われてますけど・・・」
ヌゥ
「そしたら、
“抗生剤投与後から出現した症状、症状が広がってる、顔が全体的に浮腫んでいる、口が回らない、身体に膨隆疹、呼吸苦が出始めてる”
以上からアナフィラキシーかもしれないので診察をお願いしたいと伝えて」
後輩
「はい」
ヌゥ
「それで、このまま症状が悪化していくとアドレナリンが必要になるから救急カートも一緒に」
後輩
「わかりました」
ヌゥ
「もし、この報告でも医師が訪室するの渋ってたら説得するから私に電話してきて。あくまでも患者さんを見て診断するのは医師で、それを踏まえて指示をもらわないと私たち看護師は動けないから」
後輩
「了解です。引きずってでも連れてきます」
ヌゥ
「・・・いや、穏便にね」
※この症例はフィクションです。