Dream-Nursing

世の中の看護師さんに発信したい、自分で学んだ文献などを記載する備忘録。看護師さん〇〇しようぜ!

『急変察知に対する意識を高める』

取り組んだ理由

 大学病院における院内救急要請に関する報告では、要請者の割合は看護師が4割程度であり医療者の中では最も多い。

 また、心停止した患者の中では心肺停止前の6時間以内に異常症状を呈している事がデータとして明らかになっている。

 

 私個人としては職場の急変対応への意識を高めたいと考えていた。しかし、上記の内容や改定されたAHAガイドラインの考え方として「急変は徐々に悪化していく患者の状態を把握できていないだけ」という傾向に変化してきていることを学んだ。よって、急変対応の意識を高めるよりも急変察知の意識を高めた方が患者の利益になると考えた。そこで、急変察知に関わる知識や技術に意識を向ける情報提供として、それぞれテーマを決めた勉強会を複数回開催することを企画した。

 

実践

第1回勉強会

『バイタルサインのポイント』

目的

基本的な患者情報であるバイタルサインの解釈を学んでもらうことで、患者評価の考え方を改めて考えてもらう。

 

参加者:11人

 

実施内容

・どういった原因で血圧の上下や脈拍の上昇が生まれるのか。そこから考えられる病状は何かを解説。

・収縮期・拡張期血圧が何を表すのか。脈圧や平均動脈圧から何の情報が得られるのかを解説。

・2つ事例を提示し、実際のバイタルサインから座学で得た知識を使用して患者評価を実施。

 

反省点

・事前に勉強会の目的をポスターで掲示するなどの方法で、勉強会に対する動機づけをしっかり行うべきであった。

・参加者の理解度を確認しながら勉強会を進めていったため、予想よりも30分程度時間がかかってしまった。

・時間が少なくなってしまったので、事例の患者評価が1つしかできなかった。

 

第2回勉強会

『第一印象って何?』

目的

急変を察知するのに使用されるツールとして「第一印象」というものがある。看護師が感じる「何か変」という感覚を言語化するために、このようなツールがあることを知ってもらい、活用を促す。

 

参加者:5人

 

実施内容

・AHAのPEARSプロバイダーコースで使用しているDVDを視聴。

・資料を使用して、「外観、皮膚色、呼吸」で構成される「第一印象」に対する補足説明を実施。

・DVD内にある事例で患者評価を実施。

 

反省点

・事前学習をふまえた勉強会の内容にしてしまったので、事前学習がしっかり出来ていないと理解度に差が出てしまう内容になってしまった。

 

第3回勉強会

『呼吸回数は大事だぞ?』

目的

看護師が患者が急変する手前の状態変化から動くための指標として、呼吸回数が重要視されることを理解してもらう。

 

参加者:3人

 

実施内容

・こちらで準備した最低限把握しておいてほしい知識の資料を、開始5〜7分程度参加者が読む時間をとる。

・ホワイトボードを使用し、資料をふまえた「内呼吸と外呼吸の酸素の流れ」を図で説明

・その図を活用して、ショックが起こるとどこに影響が起きて何の介入が必要になるかを説明

・呼吸回数増加とSpO2低下の時間差の説明

 

反省点

・日勤終了後に開催する時間に設定しており、病棟が忙しかった時期であったため参加者がそれほど集まらなかった。

・上記理由で開始時間が30分遅れた。

・具体的に今回の内容を業務にどう活かすかの具体的な行動を提示することが出来ず、参加者に「難しかった」という感想を持たせてしまった。

・生理学の知識の復習をする時間をとれば良かった。

 

第4回勉強会
『敗血症って知ってる?』
目的
自分達の部署で身近で対応の難しい敗血症についての知識を整理し、最新の情報に触れてもらう。

参加者0人にて開催出来ず。

反省点
・2週間程度、部署の休憩室に張り紙をしたことと朝の申し送りでの周知という形での告知が上手くいかなかった。
・敗血症が身近なものだということがそれほど認識されていないことが推察された。

 

結果

 今回の勉強会開催の目的は「急変対応の意識を高めるよりも急変察知の意識を高める」としており、それぞれの勉強会の中に「バイタルサインの基本的な理解」「患者の第一印象の評価」「呼吸回数の重要性」「敗血症」をテーマとして組み込んでいた。しかし、結果としては急変察知の意識が高まったとは考えられない。


その理由としては、

・第一印象というツールは『外観、呼吸、皮膚色』を具体的な言語情報にして評価する方法になるが、看護記録にこれらの情報を記載している看護師はいなかった。

・呼吸回数に関しては、測定しているスタッフはいるが、「輸血の時には測定する」のように決められたタイミングで測定をしているのが大多数であり、勉強会で提供した患者評価に有効活用している看護師はいない。


以上のことが挙げられる。

尚、バイタルサインの基本的理解に関しては具体的な評価が難しいため評価は出来ていない。

 上記を踏まえると、今回の勉強会の開催によってスタッフの急変察知に対する意識が高まったとは考えにくい。

 

残された課題・その改善策

 基本的に参加者が少なかった事が課題である。その理由として、急変をさせないための患者評価の必要性や具体的な方法が浸透していないことが考えられる。これは、そもそも、「急変は徐々に悪化していく患者の状態を把握できていなかっただけであり、救命の失敗である」というAHAの唱える医療分野の傾向を認識していないことが原因だと考えられるため、必要性の認識が現時点では十分に理解されていなかった事が予測される。

 また、勉強会をするに当たっての事前学習を設定していたが、参加者によってどの程度学習してきたかに差がある。その結果、勉強会での取り組みや理解度に差が出てしまうので、勉強会開始時に基本的な知識が記載してある資料(つまり事前学習してほしい内容)を読む時間を確保し、前提知識のスタートラインを最低限同じにすることが勉強会を進めていく上では効率的かもしれないと考えられた。

 今後取り組んでいくこととしては、急変に対する考え方の移り変わりを説明し、急変察知の重要性を共有していけるようにAHAの方針の変換を伝達したり、再度勉強会の開催や働きかけを行っていく事である。

 さらに、シミュレーションを活用して実践のリハーサルのような機会を設けたり、業務で活用できているかどうかを評価する方法を確立しスタッフの行動変容につなげることを目指して行動していく必要があると考えられた。

 

取り組みを通して学んだこと

 学ぶ機会さえ与えることができれば、学ぶ事に積極的になれる看護師が沢山いるという印象があった。また、学ぶ事に積極的でない場合も、必要性を理解してもらった上で勉強会に参加してもらう事が意識を高めることに繋がることが推察される。

 勉強会の進め方に関しては、この勉強会がなぜ行われているか(企画者の意図)を明確にして学習者の動機づけをしっかりすることの重要性や、勉強会の実施時間と内容のバランスを意識して構成する事、準備したことが全部提供できなくても、「ここだけは伝えたい」という部分を最後に強調するなどの手段をとることが参加者の理解を深めることに繋がる事が予想される。

 

 

ん〜……

 

今年取り組んだ内容の反省をまとめてみたけど、反省の内容が勉強会の進め方が主なものになっていますね。

 

という事は、そういう司会進行というか勉強会の進め方のスキルが私には足りないという事なのだろう。

 

あと、勉強会の内容をどこで活かせばいいかを具体的に指導しない限りは実践して頂けないのかもなという事が学べました。

 

どこで活用するかわからない……というのが主な意見になるんですが、

 

結局は内容を役立てようとするつもりで勉強会に臨んでいる訳でもないからそうなるのかなぁと思ったりもします。

 

……やっぱり、何故この知識伝達をしようと考えたのかをしっかり理解して貰うための介入をしないとなのでしょう。

 

あと、徐々に参加人数が減ってるのがウケますね(T-T)(笑)

 

※ちなみにこの振り返りは別にどこかに発表する機会がある訳ではなく、ただ個人的にやっているだけです。