Dream-Nursing

世の中の看護師さんに発信したい、自分で学んだ文献などを記載する備忘録。看護師さん〇〇しようぜ!

お勧め本(哲学)

今回のお勧め本は、お仕事とは関係無いものです。


それは……プラトン先生の『饗宴』

饗宴 (光文社古典新訳文庫)

饗宴 (光文社古典新訳文庫)

 


こちらは、哲学といえば!のプラトン先生の書かれた著作です。

 

個人的には恋愛論の決定版ではないかと勝手に思い込んでいます。


めちゃくちゃ簡単に言うと、飲み会で集まったおじさん達の恋バナ(エロス賛美)なんですが(笑)


それぞれ数人のおじさんが自分が考えるエロス賛美を語り始めます。


みんなそれぞれ美辞麗句を駆使してエロスを称えます。


正直、どれも最初は怪しげなんですが、


読んでいくうちに「なるほど、理屈が通っている……のか?」みたいな気になっていきます。


一人目の青年は「人のために犠牲になるという選択肢すらとらせるエロスは人間が高潔でいるためにとてもいい神様よ」って事を主張します。


二人目のおじさん(五人目の詩人と恋仲)は、まずテーマの焦点が合っていないからテーマをちゃんと設定しようぜ発言をします。


凄いですよね?これが所謂主張を述べる事の始め方かぁと思ったりします。

 

この後の皆さんは「じゃあまず私が話すのは〇〇に関するエロスの事ね」みたいに前提を設定します。


私達は国語の授業とかで、もっとプラトン先生の本を活用して自分の主張の述べ方やディベートやり方などを学習した方がいいかもしれません。


ただ、このおじさんの話す内容は割と「は?」って思う内容です(笑)


三人目は医師で、当時の科学的な見識にもとづいてエロスを称えます。医師だけあって理屈っぽいです。


四人目の喜劇作家はギリシア神話に出てくるエピソードをもとに話を進めます。


個人的には、大学時代にこのエピソードに散々お世話になったので思い入れがあるんですが、


よくよく調べるとこのエピソード、ギリシア神話には存在しません。


プラトン先生が勝手に作ったみたいです。


このエピソードを他人に話していた立場としては驚愕の事実でした。


五人目は詩人が、エロス自身が一際美しく、善いものであることと共に、エロスが人間に美しく善いものを与えてくれる類稀なる存在であることを得意の詩を使って述べてくれます。


そして、最後に満を持して出てくるのはソクラテスさんです。

 

名前くらいは聞いた事がある人もいるのではないでしょうか?


この人は一筋縄ではいかないですよ?


なんせ始まりが


「エロスを賛美するというから参加したのに、綺麗な言葉を並べてエロスを褒めてるだけじゃん?それが“エロス賛美”ならワシにはそんなことできんよ?なんせエロスの真実を見極めてそれについての美しさを語ることがエロス賛美だと思ってたんだから」


みたいな事言ってくるジジイです。


「嘘でもなんでも、周りに評価されるために綺麗な言葉を並べる事をここで求められているなら、その方法をワシは知らんからエロス賛美は出来ないなぁ」

 

みたいなことも言ってきます。


ね?嫌なジジイでしょ(笑)?


ちなみに、このソクラテス先生の基本的な情報としては


「ワシは何も知らんから教えてくれ」


という様子で他人と問答するというスタンスです。


例えば『愛は美しい』という話をしている人がいたら


「凄い、愛が美しいなんてどうやってわかったの?」


「どんな愛でも美しいの?」


「そもそも、愛するってどういうことなの?」


と相手を質問責めにして、相手がぐぬぬとなったら


「そうか……君も分かった気になっていただけで私に教えてはくれないのか……」


みたいな感じで問答が終わります。


ね?嫌なジジイでしょ?(2回目)


そんなソクラテスさんが、今回も無双します。


昔、ファティマ(巫女さん)という人とソクラテス先生との間で行われた対話を通して今までのおじさん達の発言を訂正していくという性格の悪さです。


「いや、ワシが言ってたんじゃ無いよ?巫女さんが言ってたんだよ」


というスタンスでおじさん達をボコボコにしていきます。


そして、この話の中で最終的に『エロスの道、究極にして最高の奥義』が説かれます。


段階を重ねて美に迫っていくことで、美の絶対値へ(真理へ?)


そんな話が繰り広げられます。


この辺を言いたいが為に、著者プラトン先生はおじさん達に色々語らせた上でソクラテス先生を出演させたのかもしれません。


この、美に迫る過程は恋愛論として秀逸だと思っています。


まぁプラトン先生は

 

ソクラテス先生凄ぇぇぇ”

 

って本が書きたいだけなのかもしれませんが(笑)


ただ、プラトン先生はこれだけでこの本を終わらせません。


ソクラテス先生の出番の後、アルキビアデスという酔っ払いが出てきます。


こちらの人間らしい主張の数々


ストーカー、メンヘラの元祖かもしれません。


そして、最終的にソクラテスさんの一人勝ち、もはや無敵(笑)

 

 

 

 


と、まぁ気になった方は是非目を通してみて下さい。


恋愛論としてだけでなく、議論の積み重ね方、自分の主張の組み立て方としても参考になると思います。


それにしても、こんなんが古代ギリシアで書かれたなんて信じられます?


ただただ脱帽ですよ。

 

物事を考えて

 

主張して

 

議論するという事はこういう事だ‼️

 

って事を見せつけてきます(゚∀゚)