Hour-1 bundle②
ちなみにHour-1 bundleの前は3-and 6- hour bundleが提唱されていました。
3H bundle
- 乳酸値測定
- 血液培養採取
- 広域抗生剤投与
- 低灌流(MAP≦65mmHg以下)もしくは乳酸値≧4mmol/L(36mg/dL)なら晶質液投与30ml/kg
6H bundle
- MAP≦65mmHg以下なら(補液に対して低灌流の改善が無ければ)昇圧剤投与検討
- 補液を投与しても乳酸値≧4mmol/L(36mg/dL)なら組織低灌流の有無の精査を
- 乳酸値が上昇していないかどうかを評価
これをふまえてHour-1 bundleを考えると時間の制約がかなり厳しくなった気がします。
確かに、敗血症の死亡率は時間を追う毎に上昇していくとされています。
(抗生剤投与が1時間遅れる度に死亡率7%程度増加)
なので、早期察知・介入のメリットを最大限にしようという狙いがあるのかもしれません。
しかし、前回も最後にちょろっと紹介しましたが、Hour-1 bundleを積極的に提唱していくにはまだ根拠が弱いのではないかという意見もあります。
European Journal of Emergency Medicineがだした意見によると、
「敗血症の早期察知と早期に抗生剤投与する事の根拠は充分なものが出ているが乳酸値の測定と補液に関してはまだ根拠が薄い。よって、Hour-1bundleに全面的に賛成とはいきませんな」
みたいな感じです。(多分)
まぁ確かに、補液の過剰投与が死亡率と関係するという可能性もあり
https://link.springer.com/article/10.1007%252Fs00134-016-4675-y
過剰とならない適切な補液量の投与が、患者の予後を良くするんじゃ無いかという風潮に今はなっております。
じゃあ過剰じゃ無いのってどのくらいだよって話はまた今度にするとして・・・
(いや、どうやったらそれがわかるのかをみんな色々調べたりしているのよ?前負荷の評価として静的指標、動的指標ってのがそれぞれあったり……)
つまり、敗血症というものが確実に判定できない(qSOFAも確実じゃないですし)現状で、
マニュアル通りに乳酸測定、血液培養、抗生剤、輸液・昇圧剤投与とかやっていたら患者の予後に良い影響を与えない場合もあるし、過剰医療になることが懸念される。
ってところなのかな?
それじゃあ、今後どうするのかって所までは多分記載が無かったと思いますけど、
今まで通り、時間は気にしながら一人一人の患者の基礎疾患をふまえてバランス良く治療していくって事なんでしょうか?
自分の職場の医師はどういう考え方なのかを確認しておくと実際の動きがスムーズかもしれません。
……まぁ、何を優先するにしても、
デカイ団体が提唱する内容をすぐ鵜呑みにせずに批判的な思考でしっかり判断しようとする心構えは凄いなぁと感じます。
私は長いものには巻かれてしまうタチなので反省します(゚∀゚)