呼吸回数とSpO2
さて、前回までは「そもそも、呼吸回数を測定することで何がわかるのかがわからない」という意見に対する答えを記載しました。
この意見は若手、特に就職してすぐの看護師や2年目くらいの看護師に多い意見です。
まぁ、それほど臨床の経験を積んでいるわけでもないので、むしろこのような意見を持てること・・・つまり「自分が理解出来ていないことが理解出来ている」っていうのは凄いことだと思います。
どんなに臨床経験を重ねようと、自分が理解出来ていないことにすら気づけていない人もいますからね。
さて、呼吸回数の測定を啓蒙するにあたって次に出てくる意見と言えば何でしょう?
皆さんも予測がついているのではないでしょうか?
正解は・・・
「呼吸の評価なんてSPO2があるじゃん?なんで呼吸回数なんて測るの?」
ですね。
この意見は本当に多い。量としては一番多いかもしれません。
まぁ確かにパルスオキシメーターは便利です。
簡便ですし、数秒で数値が出てきます。
しかも、その数値は呼吸回数とは違って直感的にヤバイ、ヤバくないと判断しやすいと感じるのではないでしょうか?
確かに呼吸回数はその回数だけを認識しても、患者の病態などをふまえて問題無い値なのかどうかを考える必要があります。
しかし、SpO2は90%になれば何となくヤバいと感じて介入する、100%なら問題なしというように特に深く考えずに慌てたり安心したりということが多くないでしょうか?
本当はSpO2も患者の病態をふまえて問題無い値なのかを考える必要がありますよ?
というか、バイタルサインはそれぞれをそういう思考で判断するようにしていくと指示待ち看護師から一歩踏み出せるかもしれません。
話を戻しますが、SPO2だけを見ていると、呼吸状態の変化について行けず、対応が後手に回ることになります。
なぜなら、血中の酸素濃度が低下傾向になると、人間の身体は呼吸回数を増加させて酸素の取り込みを増大させようと働きます。
普段の呼吸方法では身体の酸素濃度が維持出来ないので、頑張って呼吸を行い血中酸素濃度を(無理矢理)維持するのです。
ここでは、まだ呼吸を頑張れているのでSpO2は維持出来ています。
そして、呼吸回数で酸素濃度が代償しきれなくなった時にSpO2低下が始まります。
酸素濃度を維持しようとしても呼吸回数では補いきれなくなった。
ここまできてしまうと、患者の状態は下り坂になっていきます。
そして、身体に酸素の運搬がうまくいかないとどうなるのでしたか?
そう、ショックになりますね。
このように、急変前の身体の状態変化を察知するにはSpO2の低下よりも呼吸回数の増加が早期な指標になると言われています。
参考文献
『Respiratory rate: the neglected vital sign』
Michelle A Cretikos et al .MJA • Volume 188 Number 11 • 2 June 2008
↑私が読んだ文献の中では、こちらが今の問題点と基本的な学ぶべき内容を紹介してくれていてわかりやすいです。
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