優越感と万能感
これは、私だけなのかもしれませんが……
何かをしっかり学習した後は謎の万能感を持ってしまうことがあります。
例えば、敗血症の発見から治療の流れを一通り学んだ後に
「敗血症の対応はバッチリ」
というような気持ちになり、自分なりにまとめた流れに沿った事が現場で進まないと
「いやいや、こうでしょ。なんでゆっくりしてんの」
とか
「今するべきはバイタルの安定じゃなくて?」
とか考えたりしていました。(最低)
これが医師と看護師であれば看護師の方からあまり意見することは少ないかもしれませんが、
看護師同士だと、もし自分が変な万能感を持っていると、自分以外を下にみて自分勝手に動いたりするだけになったりします。
私個人としては、周囲のスタッフよりも状態悪化の察知から急変対応までの流れは学習しているつもりでいました。
それで知らず知らずに、調子に乗っていたかもしれません。
ちょっと例え話をします。
私の担当患者で消化管出血が疑われるエピソードがあった患者が患者対応中に目の前で意識障害を起こしました。
事前に「冷や汗がある」と聞いていたり元々の血圧の変動が気になっていたりしたので、完全に消化管出血だと考え、すぐに人手と補液の準備をし始めました。
看護師が集まり、他の看護師伝いに医師に補液の準備を出してもらった私は補液を投与し始めました。
補液投与前くらいに患者の意識レベルは戻り、会話ができるようになりました。
医師が到着して
「それでバイタルと経過を教えて」
と言われた時に、私は気付きました。
私は、人にはあんなに煩く言う患者評価を大してせずに所見だけで消化管出血と決めつけて対応していたのです。
何も言えない私の横から、最初に駆けつけてきた後輩がすかさず
「血圧〇〇/〇〇です。意識レベルは〇〇です」
とバイタルの報告をしてくれました。
私が消化管出血だと思って早く補液を入れないとと慌てていた時に、後輩は冷静に患者の評価をしていました。
それを聞いて医師は
「じゃあ消化管出血を視野に入れて原因検索していこうか」
と言われました。
あとで後輩と話すと
「いや、私に出来ることをやってただけですよ」
と答えました。
私は自分が調子に乗っていたことに気づきました。
いくら治療の事を学んで先の流れがわかっていても最初の鑑別が間違えていたら意味がありません。
周りより学習しているという馬鹿げた優越感と万能感のせいで失敗するところでした。
この例え話のように、この間私が最初に思い込んで突っ走りそうになった後に
後輩に助けられて自分が調子に乗っていたことに気付かされた場面がありました。
私は知らず知らずに自信だけが大きくなってしまうのかもしれません。
いくら学習したり急変で動けるとは言っても一人では何も出来ません。
変な優越感、無駄な万能感は持たないように、
それは根拠のない自信です。
気をつけましょう。
自戒を込めて。