敗血症プチ勉強会③
敗血症の確定診断がでたら、次は治療になります。
私達看護師は、指示を出すことはないので極論を言えば医師の指示に従えばいいのですが、
敗血症は時間との闘いです。少しでも時間を短縮出来るように素早く動きましょう。
治療に関して覚えることは、Sepsis Sixです。
なんか戦隊ものの特撮ヒーローみたいですが、この呼び方してる人見たことないし、あんまり一般的じゃ無いのかもしれません。
Sepsis Six
①高濃度酸素
②血液培養
③抗生剤投与
④細胞外液による輸液蘇生
⑤乳酸・ヘモグロビンの把握(血ガス)
⑥尿量維持
これらを1時間以内に実施するのが理想です。
これとは別にEGDT(Early goal directed therapy)という指標もあります。
EGDT(Early goal directed therapy)
①平均血圧≧65mmHg
②尿量≧0.5ml/kg/時
③乳酸値(Lac)>4mmol/Lは速やかに下げる
④中心静脈酸素飽和度(SCVO2)あるいは混合静脈血酸素飽和度(SVO2)≧70%
⑤CVP8~12mmHgを目安に十分な補液
これらを6時間以内に達成する目標値として動きます。
④、⑤は測定できればするに越したことはないと思いますが、それほど重視しなくてもいいかもしれません。(『感染症プラチナマニュアル』より)
ただ、上の①~③はかなり重要になりますのでしっかり評価していきましょう。
それと、なぜこれらが○時間以内というように明確に時間設定がされているかというと、敗血症は1時間ごとに死亡率が高くなるからです。
敗血症は、認識されてから1時間毎に死亡率がどんどん増加していきます。
ポケモンの技「どくどく」みたいな凶悪さです。
通信対戦では、あの技と「かげぶんしん」に随分と苦しめられたものです。
……
……
……わかりませんか?そうですか。
ちなみに、このEGDTですが、研究をいくつか見ると割と否定的な意見が多かったりします。
ただ、私のような専門的な知識のない看護師には良い指標になると思いますので、把握しておくことは損にはなりません。
逆に、具体的な指標や目標もなく治療をするほうが危険です。
医師が、どこを具体的に目指しているのかを共有するためにも、EGDTも把握しておきましょう。
そういえば、私が普段持ち歩くタラスコンには3Hバンドルと6Hバンドルとして目標が記載されています。
3Hバンドル(トリアージから3時間以内に達成)
①乳酸値を測定する
②血液培養を取り、抗菌薬を始める。
③広域抗菌薬を始める
④低血圧や乳酸値≧4mmol/Lに対して30ml/kg晶質液を始める
6Hバンドル(トリアージから6時間以内に達成)
⑤MAP≧65mmHgを保つために血管収縮薬を使う(輸液に反応しない低血圧に)
⑥初期輸液しても持続する低血圧(MAP<65mmHg)や乳酸が高いときは輸液バランスや組織還流を再評価する
⑦初回の乳酸値から上昇しているときはフォローする。
(タラスコン、ややボロボロ……)
Sepsis Six、EGDT、3Hバンドル6Hバンドルでは酸素投与の記載があったり無かったりと違いがありますが、循環の維持・乳酸の評価・抗生剤の投与など多くの部分で似通っています。
これらはあくまで指標です。多分、集中治療専門医の先生方とかは完全にこれに沿った治療をしているとは言えないかもしれません。
しかし、少なくともかけ離れてもいないと思います。
もう一度言いますが、敗血症は時間との闘いです。
医師と同じ方向を向き、総力戦で対抗しましょう。
なので、しつこいですがガイドラインに目を通して意識を共有できるようにしましょう。
日本版敗血症ガイドライン2016
http://www.jaam.jp/html/info/2016/pdf/J-SSCG2016_ver2.pdf