視診ってどう思う?
さて、私はバイタルサインが好きですが、身体所見も好きです。
身体所見と言われると聴診とか打診とか触診を思い浮かべるかもしれません。
マックバネーの圧痛点や筋性防御などビシッと所見が取れる人はすごいですよね。
私も見習いたいですし、尊敬に値します。
しかし、身体所見とはそれだけではありません。
派手さは無いかもしれませんが、すべての基本となるのは観察・つまり視診ではないかと私は考えています。
私がよく言うPEARSの「第一印象」も最初のパッと見、数秒の観察のことなので視診にあたります。
では、視診で何がわかるのか。意外と様々なことがわかるような気がします。
ここからは私の主観が入りますので、明確な根拠があるものではございません。御承知下さい。
まず声をかけて目が合うかどうか、これは集中力があるか……と言いますか、他人が声をかけた際にそちらに注意を持ってこられるかどうかがわかります。
目線が合わない、もしくらこちらに注意を向けないとなると、新たな刺激(声をかけられた)よりも意識を向けなければならないことがあることになります。
例えば……
体調が悪くてそれどころではない
何処かが痛い
吐き気がある
などなど
こうなると意識レベルの評価として危険度を一段階あげます。
また、呼吸様式や異常音がしないかどうかも重要です。
胸の動きが対称かどうか
呼吸努力があるかどうか
更に、顔色も色々な事を教えてくれます。
紅斑⇨アレルギー?発熱?暑いだけ?
蒼白⇨貧血?チアノーゼ?循環不全?
黄疸⇨肝臓悪い?
こう考えると、やはり私の視診の基本にはPEARSの『第一印象』が元になっているなと感じます。
あとは、バイタル測定するときにSpO2モニターを付ける際や、血圧測定の時に手背の静脈の怒張具合をみていたりします。
徳田安春先生の本に、手背の静脈の怒張が頸静脈圧の代用になったりすると書かれていたりしますが、流石にそこまで気にして見た事はないです。
バイタルサインでここまでわかる!OKとNG (「ジェネラリスト・マスターズ」シリーズ 3)
- 作者: 徳田安春
- 出版社/メーカー: カイ書林
- 発売日: 2010/09/01
- メディア: 単行本
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この本です。
ただ、私の家族が体調を崩して飲食が全く出来なかった時に
心臓より手が下にあっても手背の静脈が全く怒張しなかった事を考えると
脱水の予測にはなるかなといった感覚があります。(実際、その後に職場で脱水で倒れました)
あとは単純に浮腫のある場所の把握や、体の動きに左右差がないかなども注目に値するでしょう。
まぁ、色々ツラツラと書きましたが、結局視診で一番重要になるのは
見た目に体調が悪そうかどうか
これに尽きると思います。
もし体調が悪そうに見えるのならば何がそう見えるようにさせているのか
そんなアプローチをしていくと原因に辿り着きやすくなるかもしれません。
ちなみに「見た目」について最も研究が進んでいるのは虚血性心疾患の予測に関するものらしいですよ?
『高齢者診療で身体所見を強力な武器にするためのエビデンス』より
興味があったら是非読んでみて下さい。
素晴らしい本です。
加えて、ベット周りに何があるか、これも患者の変化に気づくことができる情報になるかもしれません。
いつも片付いている洗濯物が出しっ放しになっている。
歯磨きの物品やうがいの後の吐いた水がそのまま残っている。
いつも出来ていることがなぜ出来ていないのか
これは患者の変化に繋がる重要な情報になることがあります。
こう考えると視診(見た目)もバカにできないと思いませんか?
明日から注意して観察してみては?