Dream-Nursing

世の中の看護師さんに発信したい、自分で学んだ文献などを記載する備忘録。看護師さん〇〇しようぜ!

VF/pVTのアルゴリズム

Adult Cardiac Arrest Algorithm 

https://eccguidelines.heart.org/wp-content/uploads/2018/10/ACLS-Cardiac-Arrest-Algorithm-2018.png


さてさて、上記はPEAを紹介した時に出てきたアルゴリズムですが、


今回はVF/pVTをまとめていきますので、このアルゴリズムでいうと左側になります。


基本的な事を言うと

VFおよび無脈性VTは、除細動が準備出来るまでCPRが必要である。両方とも、高エネルギー非同期電気ショックで治療される。


とマニュアルには記載されています。


良いですか?

 

非同期ですよ?非同期!!


心静止/PEAの時も確認しましたが、再度確認です。


VF/pVTが電気ショックが必要(左側のアルゴリズム


心停止/PEAが電気ショックいらない(右側のアルゴリズム

 

f:id:T-kawashiw:20190120170136j:image


はい、何回も繰り返しましょう!

 

 

 

整理できましたか?


元々整理できている方からすれば、簡単な事で茶番みたいなやりとりかもしれませんが、


理解できているつもりでも、実際の場面になって「あれ?どっちだったっけ?」となってしまうのは人の常です。


当然だと思っていることも改めて確認しましょう。


ICLSのシミュレーションで心静止にDCかける指示を出してインストラクターに何度も


「ん?」

 


「ん?」

 


「ん?」


と言われた私のようにはならないように(笑)


さて、「質の高いCPR」が重要なのを前提とした場合、アルゴリズムの右側では心静止/PEAになった原因を探すというのが重要な要素でしたが


左側で重要なのは何でしょう?


これは先ほどから散々強調されている、非同期電気ショックですね。


心静止/PEAとは異なり、すでに一番効果的な処置がわかっているのです。


これはだいぶありがたいことですよね。


電気ショックができる状況が整ったら、


何は無くともショックを実施してください。

 

電気ショックが一番効果的な処置です。


ちなみに電気ショックですが、「強い電気ショックを与えることで心臓を再始動させる」と思っていませんか?


確かに『フランケンシュタイン』のような生命が宿る所を描写する場面では、電気ショックが一つの引き金になっている場合がありますが、


これは誤解です。


除細動のことを説明したマニュアルの記載があります。

除細動は心臓に衝撃を与え、VFや無脈性VTを含むあらゆる電気的活動を一時停止させる。心臓に機能する能力が残っていれば、心臓の正常なペースメーカー機能が最終的に電気的刺激を再開し(自発リズムの再開)、これによって循環を生み出すリズムが回復する(心拍再開)。


要は心臓の動きを一旦リセットして、心臓の自動能に任せるということですね。


決して電気ショックのおかげで動き出すわけではありません。


ちなみに『フランケンシュタイン』の原作にも、電気ショックが引き金で動き出すような文章はなかったような覚えがあります(うろ覚えですが)


映画やアニメのイメージが先行しているんでしょうかね?


理屈で考えれば、死体の心臓を持ってきて電気ショックをしたところで自動能がすでに失われているので再活動するわけないというようなところでしょうか。


…………話が恐ろしいほど逸れましたが、電気ショックの目的はわかりましたか?


さらに、電気ショックで自己心拍が戻ったとしてもショック後にすぐにCPRを再開する必要があります。


これは、自己心拍が再開してすぐは必要な循環を維持するために十分な灌流が生み出されていないためです。


なので、電気ショックをした後は自己心拍があってもなくてもCPRを再開します。


次は薬剤に関してですが、アドレナリン、アミオダロン、リドカインが主に使用される薬剤です。


ただ、心静止/PEAの時にも書いた通り薬剤は明確には効果があると言いがたい位置付けです。


薬剤を使用することで「生存退院率」が上昇するエビデンスは現時点では明確ではありません。


アドレナリンは「大動脈拡張期圧、冠動脈灌流圧、およびROSC率」を改善することが、


不整脈薬(アミオダロン、リドカイン)は「ROSCおよび生存入院率」を向上させることは臨床的に示されています。


これが薬剤を投与する主な理由です。


なので、優先順位をしっかり整理しましょう。


ルート確保や薬剤の準備をしているために電気ショックが遅れることがあってはいけません。


こちらのアルゴリズムでは、効果的なCPRと電気ショックが何よりも重要なものです。


役割分担もこれを踏まえて行いましょう。

 

 

 


と、まぁ正直アルゴリズムに沿っていればそれほど必要なことが漏れることはないと思いますが


実際の場面ではアルゴリズムを確認できないことが多いかもしれません。


なので、私はレファレンスカードは持ち歩くことにしています。


また、救急カートの記録用のクリップボードにもコピーしたアルゴリズムを貼ってます。


急変場面で焦るのは仕方ないですが、準備だけはしっかりとしたいと思っています。

 

 

 

参考文献

ACLSプロバイダーマニュアル