Dream-Nursing

世の中の看護師さんに発信したい、自分で学んだ文献などを記載する備忘録。看護師さん〇〇しようぜ!

頻脈のアルゴリズム

『Adult Tachycardia with a pulse algorithm』

https://eccguidelines.heart.org/wp-content/uploads/2015/10/2010-Integrated_Updated-Circulation-ACLS-Tachycardia-Algorithm.png


今回は頻脈です。


頻脈も徐脈と考え方としては同じです。


まず、緊急性のある状態なのかどうかをABCDアプローチで判断


その後、頻脈によって下記の症状が引き起こされているのかどうかを判断します。

 

  • 低血圧
  • 急性の意識障害
  • ショックの徴候の有無
  • 虚血性の胸部不快感
  • 急性心不全


この症状も徐脈の時と同じですね。


徐脈と異なるのは、頻脈の場合は症状の評価の後にQRS幅の評価もアルゴリズムに含まれていることです。


私は、ここでようやくQRS幅を見ることの重要性を理解することになりました。


重篤な症状もなく、QRS幅も広くなく、循環動態が安定していると判断されればそれほど慌てることはありません。


患者の観察を強化で対応します。


さて、ここからは頻脈の治療になってきます。

 

主な対応の種類は大きく3つに分けられます。

 

  1. 何も使わない(迷走神経刺激)
  2. 薬剤を使う(アデノシン、プロカインアミド、アミオダロン、ソタコール)
  3. 電気ショックを使う


以上の3つから適切なものを組み合わせて、症状の有無・リズムが規則的か不規則か、波形の形を踏まえて対応していきます。


迷走神経刺激は、眼球圧迫や頸動脈圧迫などもいくつか紹介されていますが、一番危険が少ないのは『息こらえ法』でしょうか?


正直これで止まった人を見たことがありません・・・と最近まで思っていましたが、


この間、循環器の医師がこれでPSVTをピタッと止めていたので、仲の良い医師と一緒に「すげぇ」と見入ってしまいました。


薬剤に関しては具体名が挙げられているアデノシン三リン酸ナトリウム、プロカインアミド、ソタコールが選択肢に挙がります。


そして電気ショックに関しては非同期電気ショックと同期電気ショックがあります。


非同期電気ショックは、実施者がショックボタンを押すとすぐに電気ショックが実施されるものです。

 


同期電気ショックは、実施者がショックボタンを押してもすぐには電気ショックが実施されず、R波に合わせて電気ショックが実施されるようにセンサーが調整することを言います。


T波が出た時に電気ショックを実施してしまうと「R on T」と同じ状態になりVFが発生することがあります。


これを防ぐために、センサーが波形を感知して時間差でショックが実施されるというものです。


・・・わかりますか?(笑)


私はこれがうまくイメージできず、何度かネットで動画を探して動画を見て学んでいます。


ようやく「なんとなくイメージができたかな」というところです。


皆さんでしたら、すぐに理解できるさ!


さぁ、ここから本格的な対応に入っていきます。


まず、ABCDアプローチを実施し緊急性を判断します。


頻拍に対応するよりも差し迫った危険(低酸素など)があるようならばそちらの対応します。


そして、


低血圧

急性の意識障害

ショックの徴候の有無

虚血性の胸部不快感

急性心不全


これらの症状が頻脈が原因で起こっていることかどうかを評価します。


もしもこのような症状が出ていれば、循環の面で生理的な反応だけでは代償しきれていないということです。


この状態への対応は同期電気ショックになります。


いいですか?同期電気ショックです。


整理してみましょう。


患者からドキドキするというコールがあり、モニターをつけてみた(もしくは、患者がもともとモニターを付けていた)


⇨150回/分以上の頻脈性不整脈がモニターで認識された(150は目安)


⇨ABCDアプローチの結果、蘇生処置はいらない。

 

⇨患者の脈は触れるが下記症状が出ている。

低血圧、急性の意識障害、ショックの徴候の有無、虚血性の胸部不快感、急性心不全


⇨これらの症状は頻脈が理由の可能性が高い


⇨同期電気ショック


といった所でしょうか。


ちなみに同期電気ショックは患者の意識がある場合が多いので痛い(ハズ)です。


よって、鎮静剤の使用を考慮します。


さらに、もし規則的でQRS幅が狭ければアデノシンの投与を考えます。


これで、症状がある場合の対応が終わりました。


いいですか?整理しきれない人は何回もイメージしながら繰り返しましょう。


次は上記の5つの症状がない場合です。


症状がなければのQRS幅を確認します。


QRSの幅が0.12秒以上(心電図の小さいマスは1つ0.04秒なので幅が3マス以上)であれば心室の収縮に時間がかかっているということなので循環動態が乱れているかもしれません。


ここでは薬剤が活躍します。


アルゴリズム通りに行くと、ここで薬剤投与するためのルート確保と、できれば12誘導をとります。


そして、QRSに再度注目し、規則的でさらに単形成(QRSの形が一定)であった場合はアデノシンの投与を考えます。


不規則であれば、抗不整脈薬(プロカインアミド、アミオダロン、ソタロール)の投与を考えます。


マニュアルには

不規則な場合は早い心室レートを制御すること(レートコントロール)、血行動態的に不安定な心房細動を洞調律に戻す事(リズムコントロール)またはその両方に的を絞って管理を行う。


と記載してあり、専門医に相談することが望ましいとしています。


『レートコントロール』と『リズムコントロール』は覚えておきましょう。


多分、ACLSをやろうと思う方々でしたら今後も目にする単語だと思います。(私は覚えられてない)


ここでまた、一度整理してみましょう。


患者からドキドキするというコールがあり、モニターをつけてみた(もしくは、患者がもともとモニターを付けていた)

 

⇨ABCDアプローチの結果、蘇生処置はいらない。


⇨150回/分以上の頻脈性不整脈がモニターで認識された(150は目安)


⇨患者の脈は触れる。下記症状は特に無し

低血圧、急性の意識障害、ショックの徴候の有無、虚血性の胸部不快感、急性心不全


⇨QRS幅に注目してみると0,12秒以上ある


⇨ルート確保し、12誘導(可能なら)


⇨①QRSが規則的で単形成ならアデノシン投与

 ②QRSが不規則なら抗不整脈薬(プロカインアミド、アミオダロン、ソタロール)投与


これで、症状が無くQRS幅が広い場合の対応が終わりました。


いいですか?整理しきれない人は何回もイメージしながら繰り返しましょう。(2回目)


さぁ盛り上がってまいりました(笑)


次は症状が無く、QRS幅0.12秒(小さいマスで幅3マス)未満の場合です。


ここでは、息こらえ法と薬剤が出てきます。


またアルゴリズム通りにいくと、ここで薬剤投与するためにルートの確保とできれば12誘導をとります。


そして、次に迷走神経刺激(息こらえ法)が出てきます。


それで止まらなければ、次は薬剤です。QRSに再度注目し、規則的であった場合はアデノシンの投与を考えます。


そして、βブロッカー、カルシウム拮抗薬の投与を考えます。


そして専門医に相談です。


はい、整理してみましょう


患者からドキドキするというコールがあり、モニターをつけてみた(もしくは、患者がもともとモニターを付けていた)


⇨150回/分以上の頻脈性不整脈がモニターで認識された(150は目安)

 

⇨ABCDアプローチの結果、蘇生処置はいらない。


⇨患者の脈は触れる。下記症状は特に無し。

低血圧、急性の意識障害、ショックの徴候の有無、虚血性の胸部不快感、急性心不全


⇨QRS幅に注目してみると0,12秒未満だ


⇨ルート確保し、12誘導(可能なら)


⇨リズムが規則的ならアデノシン投与を考慮


⇨βブロッカー、カルシウム拮抗薬を考慮


⇨専門医へ相談

 

これで、症状が無くQRS幅が狭い場合の対応が終わりました。


いいですか?整理しきれない人は何回もイメージしながら繰り返しましょう。(3回目)

 

 

 

 

 

お疲れ様でした。これで頻脈のアルゴリズムは一通り終了です。


底辺を這う看護師を自称する私は、何十回繰り返しても覚えられませんが、


皆さんなら数回繰り返せばきっと大丈夫です。


もし、繰り返してもダメであればマニュアル以外の副読本のようなものを読むのも手です。


自分が読みやすいものを使ってイメトレしながらやりましょう。


それでは皆様、私の勉強にお付き合い頂きありがとうございました。


ついでに、ちょっくらACLS行って資格取ってきちゃって下さい(笑)

 

 

 

 


あ、注意しておきたいことがありますが

 


臨床ではこのアルゴリズム通り進まない事があります。


医師の指示によっては別の動きをしなければならない事もあるでしょう。


ただ、基本的な頻脈に対する考え方を知っている事は無駄にはなりません。


看護師は医師の指示がなければ処置はできませんが、先を予測して動く事はできます。


ACLS受講中アルゴリズムに正確に、


臨床ではアルゴリズムを踏まえて柔軟に、

 

意識する部分を分けて動きましょう。