体温評価しようぜ③
まつげ
「まぁ確かに発熱患者に対して、あご先輩やたらと呼吸回数記載してますもんね」
あご
「やたらとって何よ、体温はそれだけじゃ拾える情報が少ないから他のバイタルと組み合わせて考えないとなのよ」
まつげ
「そうなんですか?」
あご
「そもそも、私はあなたが教えてくれてからNEWS score 使って検温の度に患者評価してるわよ」
まつげ
「え?あれ使ってるんですか?おいパクるなよ」
あご
「何がパクリよ、別にあんたのものじゃないでしょあれ」
まつげ
「最悪だ、今から使おうと思ったのに!」
あご
「母親に部屋片付けろって言われた小学生じゃあるまいし」
まつげ
「今やろうと思ったのに!」
あご
「それよそれ、まんまじゃないの。でも使ってみるとNEWS scoreちょっと時間かかるわよね」
まつげ
「は?自分で見つけられなかったからってディスるなよ」
あご
「別にディスってはいないけど、まぁそうね。自分で調べてきた知識って愛着が沸くからバカにされると腹が立つわね」
まつげ
「私くらい頭がやわらかければ別に時間かからないと思いますよ?先輩夜勤ばっかりやってるから患者評価の時間が少ないのもあるんじゃないですか?」
あご
「そう?じゃあ今度から日勤で使ってみた感想聞かせて」
まつげ
「はい、・・・ん?ハメられた!」
あご
「人聞きの悪いこと言わないでよ。ちなみにqSOFAで2点以上になると、NEWS scoreでもMedium risk位になるから毎時間様子見に行けって言われるわよ」
まつげ
「・・・なんで2つ組み合わせてるんですか?」
あご
「別に理由はないけど・・・こういうの楽しくない?一般的な患者評価のツールと敗血症に特化したツールは果たして同じゴールを目指せるのかみたいな」
まつげ
「へ、変態だ」
あご
「いや、だから自分で得た知識を使いまくってそれが自分のものになったらそれは財産なわけじゃない?」
まつげ
「パクリにパクリを重ねてオリジナル生み出すみたいな?」
あご
「よくわかんないわそれ。いいのよ、患者の体調変化の予測ができれば」
まつげ
「はいはい、っていうかエマージェンシー3つあげたくせに敗血症のことにこだわりすぎじゃないですか?」
あご
「いや、実は髄膜炎には詳しくなくてね。あまり遭遇したこともないし、発熱に加えて嘔吐とか意識障害みたいな中枢神経症状で疑われたりするんだけど・・・。Joltの感度が高いとかとかBrudzinskiとかKernigは意識障害あってもやりやすいとか」
まつげ
「あご先輩って身体所見も好きですよね」
あご
「まぁ、私たちは検査のオーダーできるわけじゃないし。自分で得られる情報があるんだったら欲しいじゃない?患者さんが危ないかどうかの判断材料は多いほどいいし」
まつげ
「先生に任せちゃった方が楽じゃないですか?どうせ後で先生が診察するんですよね?」
あご
「でも気になる所見があってそれを医師に報告できれば医師が”診察する”っていう行為を省けるかもしれないでしょ?そしたら時間の節約になるじゃない?」
まつげ
「いや、流石に先生が診察するっていう行為を省くことはないんじゃないですか?」
あご
「まぁそうね」
まつげ
「もう趣味ですね」
あご
「そうかもね」
まつげ
「家族に愛想つかされないように気をつけてくださいね」
あご
「大丈夫、もう諦められてるから」