循環評価しようぜ
~病棟にて~
ピンコン
ピンコン
ピンコン
あご
「ちょっとちょっと」
まつげ
「何ですか?」
あご
「このモニターの患者さんずっと140回以上の頻脈だけど何かやってるの?」
まつげ
「あぁ、その人消化管出血できた人ですね。今トイレに行ってます」
あご
「出血してるのにトイレまで動いてるの?」
まつげ
「ベッドサイドのポータブルトイレじゃ嫌だっていうんで車椅子でトイレまで連れて行ったんですよ」
あご
「誰か付き添ってるの?」
まつげ
「いや、でも血圧も100以上ありますし。理解力も特に問題ないので終わったら呼んできてくれると思います」
あご
「ん~……でも、付き添ってないで何かあったら誰が対応できるの?」
まつげ
「まぁ、モニターつけてますし何かあったら誰かわかるかなと」
あご
「え?今、モニターがピンコンピンコン鳴ってる状況を誰も気にしてないのに?」
まつげ
「……」
あご
「しかも、脈拍140以上よ?いくらなんでも速すぎない?」
まつげ
「でも割と前からずっと動くとこの位になりますよ?」
あご
「ちなみに下の血圧は?」
まつげ
「確かトイレに行く前は80台だったと思います」
あご
「血圧は100/80台ってことね?」
まつげ
「そうです」
あご
「それで、しばらくこの状態が続いてるってことね?」
まつげ
「そうですね」
あご
「ん~ちょっと心配だからトイレに様子見に行ってきてくれる?出来ればそのまま付き添ってきて」
まつげ
「わかりました」
あご
「主治医はこの事知ってるの?」
まつげ
「主治医には報告してあるって聞いてます」
あご
「あなたは報告してないのね?」
まつげ
「はい」
あご
「じゃあ、私先生に報告してくるから。多分このまま今の状態が継続すると循環が破綻する気がする」
まつげ
「え?なんでですか?血圧維持できてますよ?」
あご
「血圧だけで判断するんじゃないの、体動で容易に上昇する脈拍、脈圧が低いこと、下の血圧の高いことが気になるわ」
まつげ
「わかりました。とりあえず、アタシは付き添ってきます」
………つづく