暗記をする?理解をする?
あご
「……………………」
まつげ
「お疲れさ……(やばい、センパイが本読んでる。捕まると質問される。早く帰らないと)」
あご
「ねぇ、まつげさん」
まつげ
「(捕まった~)はい?」
あご
「この本読んだ?」
まつげ
「なんですか?……あ、これ前に副師長に何買ってもらうか悩んでた頃に選択肢で出てたやつですよね?」
あご
まつげ
「結局これ買ってもらったんですね。じゃあマニュアルはダメだったか~」
『職場に置くならどんな本?』参照
https://dream-nursing.hatenadiary.jp/entry/2018/11/14/161125
あご
「いや、まぁこの本にも心停止、致死性不整脈のアルゴリズム載ってるのよ」
まつげ
「あ、そうなんですね。じゃあ後でそこだけ読みます」
あご
「そうなのよ、こういうのって1番必要とされるのってきっとこの図じゃない?」
まつげ
「そうですね、丸暗記すれば使えますからね」
あご
「でも、丸暗記じゃ理屈とかは理解してないわけじゃない?」
まつげ
「そうですね」
あご
「それってどうなの?って思わない?」
まつげ
「またわけわかんないこと考えてますね?いいじゃないですか、丸暗記で実践できればその場は動けるんだから」
あご
「いや、まぁそうなんだけど……。それって次に繋がる?」
まつげ
「……ん?どういう事ですか?」
あご
「こういうのって“今までの知識”と“確立されたアルゴリズム、現場での実践”が結びつくから面白くなるんじゃない?」
まつげ
「はぁ……」
あご
「確かに暗記の部分はあるけど、丸暗記してて楽しい?」
まつげ
「いや、楽しくはないですよ?そもそもの勉強……というか仕事の事を考えるのが苦痛です」
あご
「え?そうなの?」
まつげ
「何を勘違いしてるのか知りませんけど、アタシはセンパイみたいに、仕事の事何でもかんでも面白がって調べられるような人間じゃないですよ?」
あご
「いや、私だってやってるうちに面白くなっちゃうだけで最初から楽しんでるわけじゃないわよ?」
まつげ
「でも、センパイはなんだかんだで面白くてやってるんですよね?」
あご
「うん」
まつげ
「みんながみんなそうじゃないんですよ?アタシみたいなタイプにはアルゴリズムとかフローチャートってありがたいんです。その通り動けばいいってのをわかりやすく示しているから」
あご
「ん~、まぁ理解はできるわ」
まつげ
「それに質の保持って意味では、理屈がどうこうっていうよりアルゴリズムを全体に暗記させちゃった方が良くないですか?」
あご
「確かにねぇ……でもこういう学びの過程で、『楽しかった』っていう経験が次の学習の意欲に繋がるんじゃないかと思うのよ。それが無かったらもっと勉強やってみようって思えなくない?」
まつげ
「いや、だからそもそも勉強したくないんですって」
あご
「……そうか~、まぁ嫌がる人に無理やりさせるわけにもいかないし。それならここのアルゴリズム読んでおくといいわよ」
まつげ
「まぁ時間がある時読んでおきます~」
~~~~~~~~~~~~~~~~
後日
まつげ
「センパイ、このアルゴリズムに書かれてる幅の広いQRSと狭いQRSって何が違うんですか?」
あご
(この子、勉強嫌とかいう割に質問しまくってくるのよね)
まつげ
「センパイ?聞こえてます?『Adiós 』『goodbye』『เบย์ดี』」
あご
「ちょっと、なんで『さようなら』ばっかり言ってるのよ!普通『Hello』とかでしょ?しかも最後の何語これ?」
まつげ
「いや、センパイって日替わりで日本語通じないのかと思って」
あご
「……そんな機能付いてないわよ?ん~、そしたら心電図から説明しないとかしら?」
まつげ
「げ~、また捕まったよ」
あご
「……あんたが捕まりにきてるのよ?」