報告の仕方
まつげ
「いや~緊張した」
あご
「あら?どしたの?」
まつげ
「いや、〇〇先生っているじゃないですか?あの先生に患者さんの状況を報告してきたんですけど」
あご
「そうなんだ」
まつげ
「一回『ごめん、結局何が言いたいんだっけ?』って言われたことがあるから緊張しちゃって」
あご
「ふ~ん、そんなに悪い人じゃないと思うけどね」
まつげ
「いや、怖かったんですよ?まぁ確かにアタシの報告がわかりづらかったのかもしれないですけど」
あご
「ふむ、どんな報告の仕方してるの?」
まつげ
「どんなって……まぁ起こってることを普通に伝えてるだけですけど」
あご
「あら?報告のツールってなんか使ってないの?」
まつげ
「ツール?」
あご
「そうそう、SBARって聞いたことない?」
まつげ
「あぁ、なんか研修で急変時の報告の時に説明されたような気がしますね」
あご
「あれ、別に急変時の報告だけに使えるわけじゃないわよ?」
まつげ
「え?そうですか?」
あご
「合理的な流れに沿ってるから、あれに沿って報告すれば割と筋の通った報告になるわよ」
まつげ
「でもあれってアセスメントしないとじゃないですか?自分のアセスメントを先生に伝えるのってなんか恥ずかしいんですよね」
あご
「え?そう?」
まつげ
「ほら、あご先輩はウザくても自分では気づかないくらいメンタル強めじゃないですか?私そうでもないんですよ」
あご
「誰がウザいのよ、でもアセスメントしないと自分で考える能力がつかないわよ?」
まつげ
「でも、先生が結局対応考えるのにアタシが考えてもなぁって感じです」
あご
「ん~まぁ、色々言いたい事はあるけど要は自分のアセスメントに自信が持てないって事?」
まつげ
「まぁそうですかね~、だから恥ずかしいのかもしれないです」
あご
「まぁアセスメントするには前提となる知識が必要だしね」
まつげ
「ほら、結局勉強しろって事ですよね」
あご
「まぁそりゃそうね」
まつげ
「はぁ、やっぱりそんなに甘い話は無いですよね」
あご
「甘い話?」
まつげ
「次からは〇〇先生に報告する事は全部あご先輩がやってくれるとか」
あご先輩
「あなた、私のことお母さんだとでも思ってるの?」
まつげ
「うちのお母さんもう少し綺麗なんでやめてください」
あご
「……とりあえず今度からはSBARを意識して報告してみたら?」
まつげ
「はい……あ、あご先輩」
あご
「なに?」
まつげ
「うちのお母さん綺麗って言いましたけど、あご先輩の方が優しいです」
あご
「……何よ急に、いいわよ別に」
まつげ
「ただ、本当に比べ物にならないくらいうちのお母さんのが綺麗です」
あご
「……なに、なんでわざわざ呼び止めてまで言い直したの?」