アナフィラキシーのオプション?
アナフィラキシーに対しての薬剤で余裕があればオプションとして 頭の片隅に置いておきたい薬はグルカゴンです。
β遮断薬が使用されている患者にアナフィラキシーが起きた場合、 β遮断薬がアドレナリンの効果を邪魔してしまい、 有効な血圧上昇が得られないことがあります。
β遮断薬は心不全の治療に使用されるビソプロロールなどが代表的 です。
グルカゴンはβ受容体とは関係なく作用し、 アナフィラキシーの循環動態の改善に効果があるとされています。
よって、 アドレナリンを使用しても思ったほど循環動態に改善が見られない 場合(アドレナリン抵抗性) やβ遮断薬を患者が常用している場合は、 グルカゴンの投与を選択肢に加えます。
ちなみに、 グルカゴンは嘔気を引き起こす事が多いのでゆっくり静注すること と誤嚥に注意が必要なことも覚えておくと余計な処置をしなくて済 みそうです。
ただ、こんな事を覚えておくのは難しいと思う方はとりあえず、 アナフィラキシーにはアドレナリン筋注を覚えておいてください。
こちらの方がアナフィラキシーには圧倒的に重要な介入です。
対応中に循環動態の改善が起きなければきっと誰かがグルカゴンの 投与を検討してくれるはずです。(特に医師が)
患者の安全のためには、 その場にいる医療者がチームとなってお互い知識を出し合い、 協力し合ってそれぞれが助け合うことが必要です(特に急変時は)
参考文献
タラスコン救急ポケットブック