呼吸回数測定の重要性が詰まった論文
ちょっとずつ読んでみよう(゚∀゚)
Respiratory rate: the neglected vital sign
MichelleA Cretikos, Rinaldo Bellomo, Ken Hillman, Jack Chen, Simon Finfer and ArthasFlabouris
Med JAust 2008; 188 (11): 657-659. || doi:10.5694/j.1326-5377.2008.tb01825.x
Publishedonline: 2 June 2008
Respiratory rate: the neglected vital sign | The Medical Journal of Australia
毎度、私に紹介されているやつですね。
芸が無い?
まぁまぁ、そう怒りなさんなって。
怒るのは呼吸回数を測定するようになってからにしてくれ(笑)
さて、まずはAbstractを見てみましょう。
Abstract
多くの病院でのバイタルサイン記録は非常に少なく、特に呼吸数が記録されていなことが多い。
異常な呼吸回数が潜在的に深刻なイベントの予測因子であるという実質的な証拠があります。
看護師や医師は、重篤な病態の予測因子として異常な呼吸回数が持つ重要性をより認識する必要があります。
頻呼吸やその他の異常なバイタルサインに対する適切な対応を促す病院のシステムは、迅速に整備できます。 このようなシステムは、バイタルサインが重要であるとの認識を高め、それを維持するのに役立ちます。
概要には、こちらの論文に書かれている大まかな内容がまとめてあります。
要するに「バイタルサイン(特に呼吸回数)が記録されていないことが多いけど、バイタルサインの評価は患者の潜在的な悪化を予測するのに活用できるよ。だから、バイタルサインから予測される患者の状態変化に対応する病院のシステムを整備しようぜ」って事だと思います。
論文を読む上で、タイトルだけだとどんなことが書かれているかがわからなかったりすると思いますが、Abstractを読むことで少しイメージがわくと思います。
そして、興味が出てきたら……ほら、次は詳細を詳しく見てみたくなるでしょう?
さて、次は導入です。
急性期病院の病棟患者を管理する際、バイタルサイン(脈拍、血圧、呼吸数、体温)のすべてのセットを、少なくとも毎日記録することが標準的なことであると考えられています。
しかし、最近の2つの多施設研究では、多くの病院でバイタルサインが記録として残されていることが少ない事がわかりました。特に4つのバイタルサインのうち、患者問題が呼吸器にある場合でも、呼吸数は記録されないことがよくあります。
これは、異常な呼吸数が心停止や集中治療室(ICU)への入室などの深刻なイベントの重要な予測因子であることが示唆されているにもかかわらずです。
この導入の1行目を読んですぐに、そもそもこのような考えを持つ看護師が果たしてどのくらいいるのか・・・と言う気持ちになってしまいますが(笑)。
一応、バイタルサインとして上記の4つを記録することが患者管理の基本的な考え方とすることに異論はないと思います。
しかし、参照とされた研究によるとバイタルサインがしっかり記録として残されていること自体が少ないようです(これにはちょっと驚き)。
まぁ、その中でも当然のように呼吸回数は日の目を見ないことが多いようではありますが……。
確かに、私が呼吸回数についての勉強会を職場で企画したときも、「呼吸器系に問題がある患者の呼吸回数も測定しないんだから驚きよね」と愚痴をこぼしている指導者もいました。(ちなみに、その指導者は実臨床で呼吸回数を測定しているのかは確認できていないので定かではありません)。
そして、最後の文章にある内容を、果たしてどれだけの看護師が把握できているのかを考えてみるとそれほど多くないのでは?と感じてしまいます。
理由は、自分で呼吸回数に関しての知識をアップデートしていかない限りは、このような情報に触れる機会が少ないと考えられるからです(少なくとも私はそうでした)。
この最後の1文を教えるだけでも、もしかしたら呼吸回数を測定してくれる医療者は増えるかも知れません・・・が、私はそんな希望的観測を持てるほど純粋でもありません(笑)。
これ以降の文章を見ていくことで、呼吸回数を測定する医療者が一人でも増えれば幸いです。
つづく(予定)