PEARSを受講して②
さて、PEARSを受講して変化した事を少し考えてみます。
前回は最初に患者に対した時のことを書きましたが、今回は状態が悪いと判断した後の事を書いてみましょう。
まず、患者の状態がなんか気になると感じる事は誰にでもあると思います。
以前の私はバイタルを測って、数値を見て「はて?何が引っかかるんだろう」と数値とにらめっこしていました。
これだと情報が少なくて(私は)ボヤけた判断しか出来ません。
そこで一次評価(ABCDアプローチ)になります。
勿論、状態悪化の原因がパッと見て一瞬でわかるのであればそれに越した事はありません。
しかし、入院中の患者の体調不良というのは大抵何かが組み合わさった要因で引き起こされます。
原因検索は勿論大切ですが、一次評価の時点ではまだ採血データなどは求められていません。(勿論、事前の情報収集でデータの傾向が把握できていればそれを活用するのもいいと思います)
ここで自分でとる所見で情報を整理していきます。
その順番がABCDアプローチです。
このABCDアプローチを、私はいつ知ったのか覚えていませんが、
知っていたからといって使えていたかと聞かれるとちょっと疑問です。
患者を目の前にして、咄嗟にABCDアプローチがその場で出てくるほど経験も度胸もありませんでした。
しかも、それを後になって振り返る術もありませんでした。
PEARSを受講すると、ゆっくりではあってもシミュレーションを通してABCDアプローチを自分で行う事になります。
また、他人がシミュレーションを実施しているのを見て外から一次評価の方法を見ることができます。
主観的な経験と客観的な経験を通してABCDアプローチを経験すると、拙いながらも実際にベッドサイドで実践出来たり、自分で振り返りが出来たりするようになってきます。
これを繰り返す事でABCDアプローチの癖がついてきます。
職場の急変シミュレーションでは、まず心停止を発見する事から始まったり、ABCDアプローチを使わずに振り返りをしたり、そもそも効果的な振り返りの方法を知らないスタッフが上に言われたからやっているということもあると思います。
それと比べると、PEARSのシミュレーションは心停止の発見ではなく、そこに至るまでの状態悪化から練習出来るし、振り返りはABCDアプローチに従ったロジカルなものです。
医療者に絶対的に必要とされる体調不良・急変時の対応が練習できる。
これもPEARSの推しの一つです。
「状態悪化や急変時の対応は大事なもの、勉強しておいた方がいいよ」
と周りのスタッフは言うでしょうが、それを論理立てて教えてくれるスタッフは多分相当少ないと思います。
何故なら、周りも論理立てて学んできていないからです。
学んでいない事は教えられません。
それでも教えろと言われたら自分の経験を踏まえて教えます。
もしくは、指導するために文献などで学習します。
そして教えるのが嫌になります。
だって、調べてみたら自分が経験上やってた対応や介入が間違っているから……。
こうして、上になればなるほど指導役を嫌がるようになり、
後輩に指導を押し付け、
後輩も同じ道を辿ります(笑)
こんな負の連鎖を断ち切る為にも、まず思い立ったら自分から連鎖を抜け出す努力をしてみてはどうでしょうか?
最初は指導なんか出来なくても、自分で一次評価や振り返りを繰り返すうちに慣れてきて、
後輩に少し教えるくらいは出来るようになりますよ?