第一印象が何故この3項目なのか?呼吸
PEARSの第一印象を構成するのが何故「顔色、呼吸、外観」なのか。
これは最終的に人が死ぬ道筋を考えると説明できます。
今回は呼吸です。
「第一印象」の呼吸で注目するのは、外から見た呼吸努力の増加の有無と異常音です。
第一印象はぱっと見での評価なので聴診器を使用せずに判定します。
例えば、全力疾走した後のゼェゼェしたような呼吸
これは身体が欲している酸素が、普段の呼吸では充分取り込めない為に起こるものです
全力疾走後であれば、安静にしていればその内疲労が取れる(エネルギーの必要量が無くなる)ので酸素の必要量が徐々に減り、その内また正常な呼吸になります。
しかし、身体のどこかで炎症が起きていて酸素の必要量が増えていたり、単純に肺からの酸素の取り込みが減っており普段の呼吸では酸素量が補えない場合は、原因を取り除かない限りは正常な呼吸に戻れません。
しばらくは頻呼吸で酸素の取り込みがを補うように働きますが、その内限界がきます。
そうすると、少ない酸素量で身体の活動を維持しなければならなくなるので重要臓器に優先的に酸素を送るようになります。
こうなると、前回紹介した顔色(循環)の時と同じ道筋です。
取り込んだ酸素は、ヘモグロビンと結合して血液の流れで運ばれていくので、呼吸が破綻すると循環が問題なくても各臓器に酸素欠乏が起こります。
そして、身体は重要臓器に優先的に血液を送ろうとして末梢の血管を締めて細くします。
すると、今まで末梢にまで行き届いていた酸素が重要臓器に優先して流れていきます。
生命を維持するのに必要な部分以外は優先しないわけです。
途中からの死への道のりは循環の破綻の時と同じです。
このように考えていくと、
呼吸の破綻から循環が破綻する
循環の破綻から呼吸が破綻する
というのは、途中から死への過程を考えると同じような道のりを辿ります。
これが、緊急性の有無を判断するPEARSの「第一印象」に呼吸の項目が入っている理由です。
ちなみに、異常音の有無は炎症がどうこうというよりも(関係ある場合もありますが)
もっとシンプルに、呼吸が出来ているかどうかの判断になります。
一番イメージしやすいのはきっとイビキですよね?
あれは物理的に気道を閉塞してしまうことで起こる音です。
割と身近な音なので皆さんスルーしがち(?)かもしれませんが、
一度しっかりアセスメントした方がいいと思います。
あとはピーピーと笛のような音がする事もあります。
これは経験しないとあまりイメージしにくい(?)かもしれませんが
鼻詰まりがある人が鼻呼吸してる時、たまにピーピー鳴ってることありませんか?
あんな音です。
どちらも呼吸よりも優先度の高い「気道」の問題なので、
周りのスタッフが問題がないと考えていたり、今までも同じような事があったとしても、一度しっかりアセスメントした方がいいと思います。