CPSS(プレホスピタル脳卒中スケール)
意識障害の患者に対する対応は難しいです。
原因が様々ありますし、何より上手いこと問診や所見が取れないことも多いです。
とりあえず、ACLSの復習中なのでその中の急性期脳卒中の評価をまとめてみます。
ACLSでは脳卒中の評価ツールとしてCPSS(プレホスピタル脳卒中スケール)を挙げています。
- 顔面下垂
- 上肢の脱力
- 言語障害
あ、よく見ればこれ「プレホスピタル」って書いてありますね。
病院前の限られた状況で判断するためのツールという事でしょうか。
確かに病院であれば他にも検査する環境が整ってますし、別にこれだけで判断しなければならない状況ってのも多くはないでしょう。
ただ、意識障害や麻痺を訴える患者に脳血管系の異常がないかを使うために覚えておいてもいいとは思います。
ちなみにマニュアルには
CPSSを使用する事で医療スタッフは1分未満で患者を評価することができる。
と書いてあります。
・・・どうでしょうか?
私だったらその速さは無理そうな気がします。
さらに、マニュアルには
とありまして、なかなかに恐ろしい数値を叩き出しています。
これはすごいことじゃないですかね?
日頃、救急隊員の方が看護師よりもバイタルや身体所見など、基本となる生理学的な情報を大切にしているとは感じていますが、
私たち看護師も見習わなければならない姿勢が多分にあるのではないでしょうか?
というか、私が感じてるだけかもしれませんが、看護師って医師以外の相手とのコミュニケーション下手すぎませんか?
リハビリ・栄養士・救命士・薬剤師も自分たちより専門的な情報をたくさん持っている気がするんですが、なぜリスペクトできないのでしょうか?
言っとくけど、専門性で言えば看護師が一番中途半端だからね!
さて、CPSSに関しては絵で見た方が理解が早いかもしれません。
CPSSで検索して見てください。
顔面下垂
歯を見せたり笑ったりするように指示
一側上肢の筋力低下
目を閉じて、手のひらを上にして両手をまっすぐ前に出し、10秒間その状態を保持する。
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」と言わせる(パタカ行のそれぞれが言いづらくなる)
もしくは『FAST』なんてのが脳卒中の関連の総称として紹介されていたりするのでそちらもどうぞ。
ちなみに、神経症状の評価に夢中になっていると疎かになりがちなのがバイタルサインの評価です。
まず、バイタルが安定しているかをしっかり把握したうえで評価に移ってください。
そして、脳血管系の評価中もバイタルサインの評価は忘れずに。
全ての患者評価の基本だと思います。
バイタルサインは頭蓋内病変の有無を示唆する血圧と脈の関係など、
頭蓋内病変を裏付ける情報に繋がることもあります。
『Using vital signs to diagnose impaired consciousness: cross sectional observational study』
https://www.bmj.com/content/325/7368/800.1.long
簡単にいうと「収縮期血圧が高ければ頭蓋内病変あるかも」
って話ですが
「その割には脈拍は落ち着いてるかも」
というのも追加して言えるのかなと・・・。
ちなみに、この血圧と脈の関係を発見したときは
「え?私すごくない?」
と思いましたが、家で本や資料を漁っていると
『高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』
の意識障害の章にこの記載がありましたので、
以前読んだ記憶をあたかも自分が発見したことかのように感じただけでした。
危ない危ない、自分の手柄にするところだった。
CPSSはプレホスピタルでの評価ですが、では院内ではどうするのか?
病院到着後のACLSの流れは
病院到着
→ABC評価
→酸素投与
→採血・ルート確保
→血糖チェック
→神経学的評価(NIHSS)
→脳卒中チーム要請
→CT
→12誘導
となります。
NIHSSというのはまた別の脳卒中スケールですがACLSでは範囲外として紹介されていません。
15項目あるので私も書きません(笑)
なので、学びたければ自分で調べましょう。
あと情報を検索していて発見しましたが、このようなものもあるようです。
脳卒中病院前救護(PSLS: Prehospital Stroke Life Support)
※日本救急医学会と日本神経救急学会が共同
https://jsem.me/training/images/PSLS_kossi070706.pdf
何にしても、脳血管障害を疑った患者に対する一次評価で
CPSSを覚えておくと役に立つ日が来るかもしれません。
参考文献
ACLSプロバイダーマニュアル
『高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』