学生実習④
あご
「まぁ、なんだかんだ言ったけど、実際は人間的に合う合わないもあると思うから、どうしてもダメなら自分に被害が出る前にやり過ごすっていうのも手だと思うわ」
まつげ
「やり過ごす?」
あご
「やり過ごすというか逃げるというか、指導側が真面目に取り組んでも変わらない人はいると思うし、逆に後輩や学生に高圧的に接して自分の優位を見せつけたいって人もいると思うのよ」
まつげ
「え~、そんなの看護師としてどうなんですか?」
あご
「看護師というかそれ以前の問題な気もするけどね?でも、人より優位に立ちたいって欲求は私たちの中に普段からあるものじゃない?」
まつげ
「確かに、アタシあご先輩よりさっさと上に行って関わらないようにしたいです」
あご
「なにその突然の下克上宣言⁉︎」
まつげ
「だって合わない人相手なら無視してもいいんですよね?」
あご
「いや、誰も無視していいなんて言ってないわよ?何、あなた人を無視する気?」
まつげ
「……………」
あご
「早速の有言実行?確かに『拙速は巧遅に勝る』っていうけど」
まつげ
「でた、博識アピール」
あご
「違うわ!まぁ学生実習だけでなく就職してからも、自分が合わないと思ったら潰れる前に逃げた方がいいと思わない?」
まつげ
「ん~でも忍耐力が養われなそうじゃ無いですか?」
あご
「自分の健康を害したり虐められてまで得る価値のある忍耐力なんてないわ。それに最初に就職した職場で上手くいかなくても次の職場ではうまくやってる子を私結構見てきたわよ?それに、自宅で炊事洗濯掃除を規則正しくしっかりした方が忍耐力鍛えられるし」
まつげ
「へ~、さすが一人暮らしが長いと説得力ありますね」
あご
「……あんたバカにしてない?」
実習生
「すみません、報告いいですか?」
まつげ
「ここは危ないから、早く逃げなさい。この人理屈っぽいモンスターよ、学生さんとは合わないわ」
あご
「誰がモンスターよ」
実習生
「ひぃぃ、理屈っぽい人ダメです〜」
まつげ
「でしょ?報告はあっちで聞くから、合わない人からは早く逃げましょう」
あご
「…………あなた、学生と仲良しじゃない」
学生実習 終わり