第一印象覚えようぜ④
まつげ
「そう言えば、なんであご先輩はMy血圧計で血圧測ってるの?しかも電子じゃないアナログのやつ」
あご
「ん?なんでって……なんでかな?確か以前の職場で師長に「SPO2、血圧、脈拍を全部電動で見ようと思えば見ることは出来るけど、実際に患者に触れてこそ看護師」みたいなマッチョなこと言われたのが始まりかな?」
まつげ
「うわ~なんか時代錯誤ですね。」
あご
「そう?私は案外抵抗なかったけど。患者に触るって色々情報が手に入るじゃない?」
まつげ
「そんなもんですか?」
あご
「だって脈を取ろうとして橈骨動脈に触れれば、末梢の温度もわかるでしょ?あと汗かいてるかどうかとか「こっちも触らせてね」とか言えば左右差の比較も出来るし」
まつげ
「いちいちそんなことやってるんですか?」
あご
「まぁ割と……でも全例じゃないけど」
まつげ
「全部やってるわけじゃないんですか?それはどうやって決めてるの?」
あご
「それこそ『第一印象』で決めるのよ」
まつげ
「出た。『第一印象から決めてました』」
あご
「あら、懐かしい。『ねるとん』ね」
まつげ
「ねるとん?」
あご
「……嫌だ、歳がバレちゃうね~」
まつげ
「先輩の年齢に需要なんてないですよ」
あご
「……。第一印象での3つ目の項目は「皮膚色」よ」
まつげ
「皮膚色?」
あご
「そう。蒼白、チアノーゼ、出血・紫斑はないか」
まつげ
「これも最初の数秒の評価になるとしたら、顔色とか手足とか露出してる部分だけの評価ってことですね?」
あご
「そうそう、わかってきたわね。」
まつげ
「アタシ得意です。ダテに先輩方の顔色ばっかり窺って生きてないですよ」
あご
「嘘でしょ?顔色窺ってその態度?」
…….つづく