ざっくり血液ガス④
ヌゥ
「頻呼吸で考える4病態あったじゃない?」
後輩
「あ〜、確か……
①低酸素
②高CO2
③代謝性アシドーシスの代償
④呼吸中枢の興奮
でしたっけ?」
ヌゥ
「そうそう。それを血液ガスの観点から見るとどうなるかがわかったじゃない?」
後輩
「・・・ん?どういうことですか?」
ヌゥ
「前回、血液ガスで得られる情報を、頻呼吸から予測したじゃない?」
後輩
「・・・ん?頻呼吸の4病態の中で血液ガスの情報が該当する病態って言ったら“③代謝性アシドーシスの代償”ってやつじゃないんですか?アシドーシスって言ってるんだし」
ヌゥ
「ところがギッチョン」
後輩
「でた、ぎっちょん」
ヌゥ
「頻呼吸で予測される酸塩基平衡の異常って何があったっけ?」
後輩
「酸塩基平衡の異常?」
ヌゥ
「なんちゃら性なんちゃらーシスってやつ」
後輩
「あぁ・・・、確か頻呼吸は空気の入れ換えの回数が多いって事だから酸素も二酸化炭素も入れ替えが多くなる。・・・ということはCO2が低下するからアシドーシスなら代謝性アシドーシス。アルカローシスなら呼吸性アルカローシス」
ヌゥ
「そうだったね。そんで、③は代謝性アシドーシスの代償ってことだから、身体が代謝の影響でアシドーシスに傾いている所をCO2(酸)を呼吸で多く捨てる事によってなんとかバランスをとろうとしている病態って事なんだけど・・・」
後輩
「そもそも、“アシドーシスの代償”ってなんですか?」
ヌゥ
「えっ?・・・代償の意味はわかる?」
後輩
「『偉大さの代償は責任である』……の名言に出てくる“代償”ですか?」
ヌゥ
「なにそれ?何かの映画?」
後輩
「いや、チャーチルの言葉です」
ヌゥ
「チャーチル?まぁいいけど代償の意味は多分合ってるわね。代謝性アシドーシスってのはHCO3-が基準値より減るんだけど、HCO3-って酸性かアルカリ性で言ったらどっちだっけ?」
後輩
「アルカリ性ですよね?塩基でしたっけ?」
ヌゥ
「そう、つまり今までバランスが取れてたpH7.4の状態からアルカリ性のHCO3-が減る。そうすると、今まで酸とアルカリのバランスが取れてたけどアルカリの成分が減ったから身体は酸性に傾くじゃない?そしたらpH7.4じゃなくなってくるでしょ?だからまたバランスをとろうとして酸(CO2)を捨てる。これが代償」
後輩
「身体が酸に傾きつつあるのを、酸を捨ててバランスを取ろうとする働きって事ですか?」
ヌゥ
「そうね」
後輩
「って事は前回までは
“代謝性アシドーシスはCO2が基準値より減る”
って考えでしたけど、本来は
“代謝性アシドーシスはHCO3-が基準値より減る。結果としてCO2が減る”
って感じですか?」
ヌゥ
「まさしくまさしく」
後輩
「ここでやっとHCO3-が出てくる訳ですか」
ヌゥ
「いや、まぁ慣れてる人はCO2だけに注目するんじゃなくてPaO2、PaCO2、HCO3-、AG、BE、Na、Alb、Cl、Piとかを見てパパっと病態把握したり出来るけど。今はざっくり説明してるだけだからね」
後輩
「ざっくりの割にはボリュームあるような気がしますけど・・・」
参考文献
血液ガスについて
『世界でいちばん簡単に血ガスがわかる、使いこなせる本』
『竜馬先生の血液ガス白熱講座150分』
“頻呼吸の4病態”について
『レジデントノート 血液ガスを各科でフレンドリーに使いこなす』
レジデントノート 2018年7月 Vol.20 No.6 血液ガスを各科でフレンドリーに使いこなす!〜得られた値をどう読むか?病態を掴みとるためのコツをベストティーチャーが教えます!
- 発売日: 2018/06/11
- メディア: 単行本