腹痛のアプローチ
さて、それでは、腹痛に対するアプローチに関して考えてみましょう。
まずは何はともあれバイタルサインの評価です。不安定ならまず安定化を図ります。
ABCDアプローチを基本として評価し、異常がある所に介入をする事を考慮していきましょう。
もちろんPEARSの介入も効果的だと思います(腹痛の話題なのでPEARSはあまり説明しませんが)
バイタルサインの安定化を考えるのは腹痛の原因がわかっても死んだら意味ないからです。
優先度を考えて動きましょう。
まぁ、本当に急変の時は結局は原因検索と介入を同時にしなければいけないことのほうが多いんですが……。
続いて、腹部の疼痛評価です。緊急性の高い疾患が腹痛の原因では無いかと考えて評価していきます。
腹痛での緊急性の高い疾患としてはいろいろあると思いますが、具体的に挙げるとすれば
• 消化管穿孔
• イレウス
• 重症膵炎
• 重症急性胆管炎
• 腹部大動脈瘤破裂
といったところでしょうか。
いや、きっと皆様が考える緊急性の高い腹痛が他にもあると思うんですがとりあえずこの5つにしますね(笑)
少し特徴的な症状などを記載してみます。
消化管穿孔
- 突然発症の強い持続痛(お腹カッチカチ)
- 身もだえして痛がる
- 上部消化管穿孔なら、疼痛が上腹部から全体へ広がる
- 腹膜炎を起こし、早期に敗血症になり重症化する
- 手術歴+排便なし or 排ガスなし+嘔気 or 嘔吐+間欠的腹痛で疑う
- お腹は柔らかいことが多い
- 腹膜刺激症状+持続性の疼痛+腹部膨満・激しい嘔吐→絞扼性腸閉塞(腸管壊死へ)
重症膵炎
- 男性はアルコール、女性は胆石が原因であることが多い
- 心窩部痛と背部痛が特徴
- 側臥位や前かがみ・体育座りで疼痛軽快する
- お腹のやけどといわれるくらい水分がお腹に染み出す。
重症急性胆管炎
腹部大動脈瘤破裂
- 血管系の病気は強い持続痛があるがお腹が柔らかい
- 血液が後腹膜に出ると、直腸が刺激され排便の訴えが強く出る
- 『突然発症の下腹部痛』『ショック』『拍動性腫瘤』が代表的な3徴候
少し、私が勤務する職場に寄った疾患の紹介になっている気がしますが、この辺を理解しているとピンときやすいかなと思います。
ただ、腹痛には心筋梗塞が隠れていたりするので油断できません。
心筋梗塞は胸痛だけでなく腹痛をきたすこともあります(下壁梗塞は胃痛、嘔気、冷汗が出る)
腹痛があるからといって心筋梗塞を最初から除外すると危ないです。
看護師としては心電図の準備も考えたいところですね。
この辺がややこしくも、興味深いところです。
参考文献
• Dr林のワクワク救急トリアージ
• ナースのための臨床推論で身につく院内トリアージ