腹痛の所見
さて、急性腹症は
虫垂炎、腸閉塞および腹腔内臓器の穿孔など、突然の腹部の痛みと圧痛の原因となり、速やかな診断と外科的介入を擁する病態
とされています。
なので今まで腹痛に関連する記載をしてきましたが、
ここから楽しい趣味(身体所見)の時間です(笑)
よく言われる腹痛の所見に関して考えていきましょう。
代表的な腹部所見を理解することは血管病変の有無を判断するために役立つと言われています。
急性腹症で緊急性の高い血管病変は身体所見に乏しいとされているためです。
なので、身体所見を上手く活用し腹部の評価をすることで血管病変を否定できることになります。
※勿論、最終的な判断は医師がするので勝手に決めつけて突っ走らないように注意しましょう。
腹痛の代表的な所見といえばこの辺でしょうか?
- 圧痛
- 反跳痛
- 筋性防御
- 筋硬直
- 咳嗽テスト
- 踵落とし試験
上記3つくらいなら聞いたことありますかね?
筋性防御と筋硬直って何が違うの?って人は勉強不足です。
……嘘です。
私も「人によって言い方が違うだけだろ」って思ってました。
違いました。ちゃんと使い分けの意味あったんですね、すみません。
では下記に所見について書いていきます。
圧痛
- 疼痛部位を押されて痛みが強くなるかどうかを判断
- 圧痛があればその部分に病変があることが多く、圧痛がなければ他の部位の病変を考える
反跳痛(リバウンド)
- 疼痛部位を手で押し、離したときに疼痛が増強する所見
- 原因臓器だけでなく、周囲の腹膜に炎症が波及したときに起こる
筋性防御
- 腹部を圧迫しようとした際に、腹筋の緊張が見られ腹部が硬くなる
- 患者本人の意識的な筋肉の硬直
筋硬直
- 腹膜の炎症に反応した腹筋の無意識な緊張
- 患者は自分で制御できない
咳嗽試験
- 患者に咳をしてもらい、顔をしかめたり、腹部に手を当てるなどして腹痛が増強するかどうかを判断
踵落とし試験
- 立位で踵をあげてもらい(背伸びの姿勢)、そのまま急に地面に踵を落として腹痛が増強するかどうかを判断
腹膜炎の所見として診断特性が高いのは
筋硬直>筋性防御>反跳痛>咳嗽試験
となってるみたいですね。
手持ちの資料では踵落とし試験はどこに分類されるのかわかりません。
咳嗽試験と同じような位置付けのような記載があります。
ちなみに圧痛くらいは皆さんも確認しますかね?
反跳痛とかになってくる、と手技のやり方によって評価にムラが出ることが考えられるので難しいですよね。
医師によってはわざわざ患者に苦痛を与えること無いという事で反跳痛を嫌う人もいるようです。
咳嗽試験や踵落とし試験の方がやり方に差が出ないので主義者によるムラは少ないです。
ただ、反跳痛よりも陽性LRは少し高いです(それほど極端ではありませんが)
……突然LRなんてものが出てきて驚いた方もいるでしょう(笑)
これは『尤度比』と言われるもので『その疾患らしさを表す』とよく説明されています。
よくわかりませんか?まぁそうですよね、私もそうです。
また後で説明しますね。
今回はこの辺で。
参考文献
• Dr林のワクワク救急トリアージ
• ナースのための臨床推論で身につく院内トリアージ