バイタル評価⑤
電車にギリギリ乗れて息が上がっているのを我慢して鼻をピーピーいわせてると
必要な吸気に比べて空気の通り道が狭いから音がなるんだよな〜
肺の聴診の笛音と同じ原理だよな〜
と感慨深くなりますよね。
さて、ここでは呼吸努力について記載します。
大まかに呼吸努力の増加を示す所見を挙げると
鼻翼呼吸、陥没呼吸、首振り呼吸、シーソー呼吸、呼気・吸気時間の延長
などがあります。
前回もあったように、所謂「肩で呼吸する」というのをPEARSでは首振り呼吸と表現しています。
これは上半身全体を使用して(使える筋肉を使って)呼吸を補助している状態を表しています。
まぁ、これは割とわかりやすいですよね。
次にシーソー呼吸というのも記載されていますが、
これは吸気では胸がへこんで腹が膨らみ
呼気では胸が膨らんで腹がへこむ様子を
シーソーと表現したものです。
上気道閉塞で胸に空気が入ってこない場合、
力任せに空気を入れようとして横隔膜が腹部側に下がり
空気が入らないのに胸郭の陰圧が強くなるため胸はへこみ
横隔膜が下がることにより腹部が膨らみます。
上気道閉塞だけでなく、肺が膨らみにくくなっている時も陰圧が強くかかるので同様です。
シーソー呼吸は臨床で見たことあるんですが、その時はPEARSをまだ受講してなかったので
「なんか変な呼吸に見えるけどこれなんだ?」
と感じた覚えがあります。
後に医師に「今度その呼吸見たら気をつけたほうがいいよ」と言われました。
その後、PEARSでシーソー呼吸を知り、
「え?あれだいぶマズイ所見だったんじゃね?」
と振り返り、反省した覚えがあります。
鼻翼呼吸は鼻の穴を広げて取り入れる空気を多くしようとする所見、
陥没呼吸は胸郭の陰圧が強まることで肋骨間や胸骨下が内側にへこむ所見を言います。
そして、これらの呼吸努力の増加が続くと呼吸筋の疲労に繋がり、その内に呼吸筋も疲れ果ててどうにか代償出来ていたものが出来なくなります。
そしてその後、心停止や急変へと続きます。
なので、早期介入で呼吸筋の疲労を和らげることを考えましょう。
今回の学び
呼吸努力の増加は、足りない酸素を全身で取り入れ維持しようとする反応